現地17日に開催されたMLBオールスターゲームはア、ナ、両リーグのチームがそれぞれ5本ずつ本塁打を放つ打撃戦の末、ア・リーグが8対6でナ・リーグを下した。1チーム5本塁打も合計10本塁打も史上最多となっている。

 ただそれと同様に注目されたのが前日に行われた恒例の本塁打競争だった。今回本塁打競争は開催地ワシントンのナショナルズ・パークで8人が参加し、トーナメント方式で制限時間内で本塁打を打った数を競う方式で行われている。

 地元ナショナルズのブライス・ハーパー外野手は公式戦で使用できない星条旗柄のバットを持ち、星条旗柄のバンダナにアンダーシャツと愛国心とやる気を前面に出して競争に臨んだ。

 決勝はハーパーとカブスのカイル・シュワーバー外野手との対決となったが、投手を務めた父親ロン・ハーパー氏からの球を最後の約1分間に10本柵越えにし、計19本で優勝を果たしたのである。ハーパーは「我々には球界でも最高のファンがついている。家族が見ている中でこれを達成するというのは、自分にとってだけでなく、球団やナショナルズのファンにとっても格別の瞬間だ」と語っている。ロン氏も「素晴らしかった。心から誇りに思う。最高の息子だ。これ以上何も望むことはない」とコメントした。地元ファンにとって最高の結果といえよう。

 が、この快挙に青ざめたかもしれないのが他でもないナショナルズだ。実は本塁打競争を前にツイッターで「本塁打競争の間にブライスが本塁打を打つ度にナショナルズのチケット1ドル値引きする」と宣言していたのである。対象は7月31日から8月5日までに行われる5試合となっていた。

 本塁打競争でハーパーが放った本塁打は全部で45本に上った。つまり45ドルオフを実施しなければならなくなったのである。ヤフーのクリス・クイック記者によれば1日のメッツ戦のチケットは外野席がわずか1ドルに、さらに三塁の内野席でも14ドルになったということである。

 ナショナルズの公式アカウントはその後「我々の経理部に謝罪する」とツイートしている。とはいえ真夏の祭典をハーパーもファンも、そしてナショナルズも大いに楽しんだようではある。肝心のオールスターゲームそのものでハーパーが2打数2三振だったのはいただけなかったが。