AP通信は2018年のMLBにおける選手への報酬支払総額が42億2704万1948ドルとなり、2010年以降で初めて前年を下回ったと報じた。2017年は42億4505万ドルで約1800万ドルの減少となった。成長を続けてきたMLBにおいて支払総額が前年割れすること自体が珍しく、2002年の約300万ドル、2004年の約3200万ドル以来3回目となる。

減少の直接的な原因だが、薬物問題とシーズン半ばでの引退が上げられている。マリナーズのロビンソン・カノー二塁手とホワイトソックスのウェリントン・カスティーヨ捕手は薬物検査で陽性となったことでそれぞれ約1170万ドルと約350万ドルの報酬を減額されることとなった。ロベルト・オスーナ投手は家庭内暴力でブルージェイズとアストロズから210万ドルの報酬を失っている。またオリオールズのコルビー・ラスムス外野手は臀部の怪我による引退で150万ドルの減額となってしまった。

ただこれらはあくまでも目先のもので、支払総額の上昇にブレーキがかかっている主な要因はぜいたく税対策が進んでいることにあるという指摘が多いようだ。ぜいたく税は定められた額以上の選手報酬を支払うチームに対し、超過分の数パーセントを税金のように支払わせる制度だ。これを嫌い、支払額を基準以下にするチームが増えているのである。

今回最も支払い額が多かったのはワールドシリーズを制したレッドソックスで約2億3000万ドルだった。ぜいたく税を支払ったのはレッドソックスとナショナルズの2チームだけで、30チーム中24チームは支払い額が約1億ドルと均衡している。

2015年に2億9100万ドルを支払い、4年連続で最高額を記録したこともあるドジャースは1億9600万ドルで、2017年から4800万ドルも減少、これは2012年以来最少だった。ただそれでも2年連続でナ・リーグを制覇している。

金満球団といわれたヤンキースも1億8300万ドルで前年より2500万ドル減少、2003年以降最少となった。

これに対し、MLBのダン・ヘイレム副コミッショナーはメジャーとマイナーにおける収入に対する選手への支払いは54.2%で2012年と変わらないと反論している。

ただ昨年大物FA選手の多くが契約がなかなか決まらず、開幕直前の駆け込み契約になったことなどはこのぜいたく税対策普及の大きな影響だといえるだろう。今オフもFA市場は停滞傾向となっており、この問題は今後大きくなっていくかもしれない。