これぞ二刀流のパフォーマンスだった。「投手大谷」は663日ぶりの先発マウンドで1回、2安打に暴投が絡んで無死一、三塁。3番マチャドのハーフスイングがボールと判定されると、両手を上げて驚いたような表情を見せた。その後、中犠飛で三塁走者のタティスが生還。間一髪で判定はセーフとなったが、ホーム後方でベースカバーに入っていた大谷は一足先に「アウトー!」と拳を握るほど、熱がこもっていた。
1イニングを28球で終えると、トップバッターとして「打者大谷」にスイッチ。ベンチに下がる間もなくエルボーガード、すね当てを装着し、準備に取りかかった。ロバーツ監督は「マウンドから直接ネクストバッターズサークルへ行って、コーチからタオルをもらって汗をふいて。本当に現実離れしているし、興味深かった」と目を細めた。
二刀流で感情表現がより一層豊かになり、チームを活気づける。もっとも、異常な盛り上がりは試合前から続いていた。ブルペンでの投球練習を終え、左翼フィールドからベンチへ戻る途中、三塁側スタンドは総立ち。伝説的な二刀流の一挙手一投足を撮影しようとスマートフォンを掲げる異様な光景が広がっていた。
大谷は3回に同点適時二塁打を放ち、二塁ベース上でいつも以上に手と腰をフリフリして喜びを表現。4回にも右前適時打とバットで流れを引き寄せた。「1点取られて、バットで2点返して1イニング消化したと思えば、トータルで見ればプラスかなと」。自己採点の仕方も、二刀流ならではだった。【斎藤庸裕】
▼大谷が先発投手で1番スタメンは23年6月2日アストロズ戦以来12度目で、ドジャース移籍後では初めて。ナ・リーグでは1900年ジム・ジョーンズ(ジャイアンツ)1953年アルビン・ダーク(ジャイアンツ)に次いで72年ぶり3人目。ア・リーグを含めても他に1968年のシーザー・トーバー(ツインズ)だけで、2試合以上は大谷だけ。
▼大谷が先発登板。今季の日本人投手は山本、佐々木(以上ドジャース)菅野(オリオールズ)菊池(エンゼルス)千賀(メッツ)今永(カブス)も先発しており、同一シーズン7人先発は史上最多となった。これまでは6人が最多で99、02、09、14、23、24年の6度あった。ドジャースは3人先発したが、同一シーズンに同じ球団で日本人3人先発は最多タイとなり、01年エクスポズ(吉井、伊良部、大家)、03年ドジャース(野茂、石井、木田)に次いで22年ぶり3度目。



