<2003年12月9日付日刊スポーツ紙面から>
日本人初の内野手メジャーリーガーの誕生だ。西武からFA宣言していた松井稼頭央内野手(28)が8日、ニューヨーク・メッツ入団を発表した。千葉・成田市内のホテルで会見後、その足で10日(日本時間11日)の入団会見と正式契約のため渡米した。メッツは2年連続最下位と低迷するが「優勝できると思う」と自らV請負人になることを宣言。メジャー挑戦にも定位置争いにも、自分自身にも「負けへんで!」と笑顔で飛び立った。
電撃会見だった。進路球団を明記した色紙を差し出して松井が発した。「いろいろ考えて、1つのチームと合意に達しました。ニューヨーク・メッツです」。電話で代理人のアーン・テレム氏(49)と最終確認を行ったのは前日7日夜のこと。早速メッツからの要請を受け、この日夕方の渡米を決定。マスコミ各社に成田空港近くで進路表明会見を行うことを連絡したのは早朝だった。決意が固まれば、より早く行動に移すのはプレースタイルと同じ。はずむ心は抑えられない。笑顔も絶えない。心境を語る言葉も「すごくワクワクしています。頑張ります」と実にシンプルだった。
10球団のオファーから4球団に絞り込んだ。その中からメッツを選んだのは「自分を必要としている誠意、熱意を感じた。家族と暮らす環境、プレーする環境が自分には合っていると思った」と説明した。
球団側は正遊撃手のレイエスに二塁コンバートを説得してまで、松井の受け入れ態勢を整えたのは知っている。熱意は伝わったが、ただ素直にショートに座るつもりはない。「レイエス選手と二遊間を組めるのは楽しみ。どちらが、どっちを守ろうが、チームに貢献できればいい」。将来のスーパースターとも言われる若き名人とガチンコ勝負でショートを勝ち取る覚悟はできている。
さらに高い志もある。世界一の経験もあるメッツだが、最近2年は最下位。球団選考には「世界一が狙える」条件もあったが「優勝できる可能性は高いと思う。僕もその輪の中に入って貢献したい」と目標を世界一に掲げ、自らV請負人になる強い意志を示した。
メッツが提示する3年2100万ドル(約23億円)は、野手ではピアザ(年俸16億6700万円)に次ぐ高給選手となる。「すでに主力」というプレッシャーは計り知れなく大きい。失敗すれば辛口で知られるニューヨークのファン、マスコミの集中砲火は避けられないのもわかっている。さらに「メジャー初の日本人内野手」という重圧も…。
さまざまな期待と不安が胸をよぎると、さらに声をはずませた。「これからいろんなことを体験していくと思う。その中で自分がどれだけできるか楽しみだし、自分自身に負けへんように、しっかりと自分を持っていたい」。負けへん-。約30分の会見で唯一飛び出した関西弁に強い本音が見えた。
予定では8日夕方(日本時間9日)に到着。9日にメディカルチェックを受け、10日に契約と入団会見を行う。滞在期間は年末まで約20日にもなる。家を探し、環境に慣れ、一刻も早くニューヨーク・メッツの一員を目指す。大雪の本拠地で練習も計画している。「雪でも気合です」。ホンマ、負けへんで!
【久我悟】
松井
昨夜、いろいろ考えまして、1つのチームと合意に達しました。そのチームはニューヨーク・メッツです。
-他の候補は
松井
ドジャース、エンゼルス、ヤンキースです。
-背番号は決めた
松井
悩んでます。いくつかお願いした中から選びますが、入団会見まで楽しみにしておいてください。
-契約年数は
松井
3年です。(年俸は)え…、(照れ笑いで)詳しいことは、ね。
-ハウ監督の印象は
松井
ちゃんと会ったことないんで向こうに行ってお会いできると思います。
-「リトル」と呼ばれるのはいやではないか
松井
いや、気にならない。日米野球で「リトル」と呼ばれて知名度が上がった。気にしてません。
-成績の目標は
松井
自分は最近、数字と戦わないようにしている。162試合戦える体力づくりをして、試合に出られるようアピールしたいし、出た以上、4回打席に立てば4回(ヒットを)打ちたい。この積み重ねです。
-入団会見で英語を披露するのか
松井
僕は英語をしゃべれないので、このままでいきたいと思います。しゃべれないけど、打ち解けられるよう、選手の中に入っていきたい。




