【フォートマイヤーズ(米フロリダ州)5日(日本時間6日)=山内崇章】レッドソックス松坂大輔投手(29)のシーズン開幕後の登板日が、4月中旬にずれ込むことが濃厚となった。自主トレ中の2月中旬に背中の張りを訴えてキャンプに出遅れた点と、4月4日の開幕後9試合の間に休日が3日あることで、球団首脳は4月中旬まで先発ローテーション投手を4人で回す意向を固めた。この日、キャンプ開始後初めて捕手を座らせて投球練習を行った松坂だが、首脳陣は万全な体調でシーズンインさせる方針を選んだ。

 躍動感あふれるフォームとは裏腹に、松坂の調整ペースは依然として上がってこない。2月22日の投球再開から12日目。ようやく捕手を座らせたブルペン入りまで到達したが、ストライクゾーンへの投球が許されたのは12球だけだった。立ち投げ25球、捕手が片ひざをつけた状態で21球。座らせての投球は、松坂がファレル投手コーチに打診して許可されたものだった。

 懸案だった背中の張りは、すでに解消されている。「今日に限らず投げ始めてからずっといい状態です」と松坂は言う。体調面で全く不安がないのに、ファレル投手コーチは米メディアの「開幕に間に合うか」の質問に態度を保留した。

 ファレル投手コーチ

 我々は(いつ投げるか)時間を設定していない。常に彼の体の状態を聞きながら調整を進めていきたい。

 すでに松坂本人にもチーム開幕後の登板日程がずれ込むことは伝えられているもようで、本人からも焦りの色は見られなかった。

 松坂

 (開幕に間に合うかは)順調に行ってどうかな、というところ。こういう状況を招いたのは自分の責任です。結果的にもしそうなって(開幕出遅れ)も仕方がないと思います。遅れてもできるだけ早く戻るよう努力するだけです。

 ファレル投手コーチは、オープン戦登板までの調整についても「3度のブルペンと2度のフリー打撃登板」を明言。さらに先発投手の開幕までの実戦登板についても「25イニングが目安」とのノルマを示唆した。昨季は右肩と股(こ)関節の故障に泣いた松坂だけに、球団首脳は開幕登板までの調整過程を省くことに否定的だ。

 また、今季開幕後のチームの試合日程も松坂を急がせない要因の1つになっている。4月4日の開幕後は、3カード9試合をこなす中で3度の休日があり、同月中旬までは4人で先発ローテを回せる。現在のレ軍の先発候補は松坂を含めて6人いる。ベケット、レスター、ラッキー、バックホルツの4人に加え、天候不良での延期によりダブルヘッダー(1日2試合)となっても、5人目としてウェークフィールドを待機させられる。シーズンは長い。今の松坂には、2度同じ轍(てつ)を踏まないためにも、我慢と慎重な調整が求められる。