<レッドソックス6-1ブルージェイズ>◇11日(日本時間12日)◇フェンウェイ・パーク

 【ボストン(米マサチューセッツ州)=四竈衛】レッドソックス松坂大輔投手(29)が、完全に復活した。今季3試合目の先発となるブルージェイズ戦で、7回3安打1失点。9奪三振無四球の快投で今季2勝目(1敗)を挙げた。全106球中、80球が速球系と、本来の力強い投球スタイルで圧倒。春季キャンプでは首、背中痛で出遅れたが、ほぼ完ぺきな投球内容で先発ローテーションの座を不動のものにした。

 模索し続けた結果、たどり着いた答えは、極めて明快だった。ためらうことなく速球を投げるスタイルこそ、松坂本来の姿だった。「こっち(米国)に来てから、1番ストレートに自信を持って投げられた試合だと思います。いろいろと難しく考えず、シンプルに投げ込もうと思いました」。7回3安打1失点。残った数字以上に、真っ向勝負を挑む姿勢が、地元ファン総立ちの拍手を呼んだ。

 今季初コンビとなった捕手バリテックのサインに、ほとんど首を振ることなく、初回からテンポ良く投げ込んだ。打者が速球待ちのカウントでも、変化球で目先を変えようとせず、速球を選択した。「序盤はそんなに良くなかったですが、回を追うごとに良くなってきました」。全106球中、速球系は80球(75・4%)。カットボール、ツーシームを除いても、フォーシームの直球が67球(63・2%)と、徹底的に速球にこだわった。

 最速は93マイル(約150キロ)と、初戦(1日)の95マイル(約153キロ)に及ばなかった。だが、松坂にスピードガンと戦うつもりなどない。「球速が出ていても速く見えない球はある。それよりもバットを(球で)押し込める球が理想です」。実際、この日は速球で奪った空振りが15球、ファウルが23球。9三振中、8個を速球系で仕留めた。球速表示は150キロ以下でも、明らかに打者が振り遅れるほど、手元で伸びる速球でバットを押し込んだ。

 原点に立ち返れたのも、技術と体調の裏付けあってのことだった。09年7月、故障者リスト入りした際、酷暑のフロリダ州フォートマイヤーズで黙々と走り込んだ。左足を高く上げ、下半身主導のフォーム改良に着手したのも、速球の伸びを追い求めたからだった。年末年始のアリゾナ自主トレでは、故障した股(こ)関節に加え、「これまで特に意識しなかった」という臀部(でんぶ)のトレーニングに時間を費やした。首、背中痛で出遅れた春季キャンプでは、故障部分をかばう悪癖を修正。ヒジの使い方を変えることで、肩の負担軽減にも成功した。「こういう投球をするために、オフからやってきた。(好投は)今年1回目ですが、(成果を)出すことができて良かったです」。

 前回登板後、母校・横浜高の小倉前部長から受けた激励に応える快投。予断を許さなかったローテーションの座も確保した。「結果が伴わないと、その位置にはいられない。この状態を維持して故障のないようにしっかりとケアしたいですね」。多少の寄り道はしたものの、原点に回帰することで、松坂は復活への第1歩を踏み出した。