<インディアンス1-4レッドソックス>◇7日(日本時間8日)◇プログレッシブフィールド

 【クリーブランド(米オハイオ州)=四竈衛】レッドソックス松坂大輔投手(29)が、日米通算150勝を達成した。インディアンス戦に先発し、8回4安打無失点5奪三振と三塁を踏ませない快投で、今季5勝目(2敗)を挙げた。日本の8年間で積み上げた108勝に加え、メジャー4年目で42勝目。通算285試合での到達は、2リーグ制以降の入団では最速達成となった。

 試合後、ウイニングボールの行方を聞かれた松坂は、少しだけはにかむように言った。「自分のためというか、3人目の子供が生まれてからまともなボールがなかったので…。意味のあるボールが渡せて良かったですね」。3月18日に次女が誕生した当時、松坂は調整遅れで開幕は絶望視されていた。その後、1カ月遅れでメジャー復帰したものの、「意味のあるボール」は手にしていなかった。だからこそ試合終了時は、登板直後の体の手入れを切り上げてグラウンドに飛び出した。まだ父親の職業すら分からない娘に、記念の1球を贈るためだった。

 好不調のアップダウンが激しい今季、2試合連続で力強い投球を披露した。3回までは速球主体に組み立て、打者2巡目以降は最速146キロをマークした高速カットボールを主体に投げ込んだ。112球中、スライダーはわずか4球。これまで呼吸が合わなかったマルティネス捕手とは5月17日以来のコンビだったが、この日は快調な間合いで凡打を築いた。同捕手とは登板間にミーティングを繰り返し、意見交換を重ねた。「いいリズム、テンポで投げたいと思ってました。しっかり話ができた結果だと思います」。8回4安打無失点。三塁も踏ませない、余力十分の112球だった。

 「150」の数字は、登板前から認識していた。だが、松坂が強く意識してきたのは「200」だった。日本で108の白星を積み重ね、メジャー移籍した07年当時から、達成可能な時期をおぼろげにも頭に描いてきた。だからこそ、150はあくまでも区切りだった。「通過点ですが、大きな節目だとは思います」。本来ならわずか4勝に終わった昨季中にクリアできる数字だった。それでも、西武の先輩・西口を上回るスピードで節目に到達した。「速いに越したことはないですね。西口さんには電話で伝えておきます」。

 快速球でねじ伏せるだけでなく、変化球でかわすだけでもない。目指すのは、剛と柔を兼ね備えた投手。「まともな投球を続けたのは(今季)初めてですが、これで乗っていけるかもしれないですね」。あくまでも目先の勝利や数字にこだわるつもりはない。ただ、29歳で通算150勝に到達した松坂にとって、今後の野球人生を見つめる上で貴重な白星だった。