【ボストン(米マサチューセッツ州)12日(日本時間13日)=四竈衛】レッドソックス松坂大輔投手(29)が、先発予定だったフィリーズ戦の試合開始直前、登板を回避した。球団は右前腕の張りのため、15日間の故障者リスト(DL)入りすると発表した。前回登板翌日の8日付で、最短復帰は23日。13日に診察を受けるが、最悪の場合、前半戦での復帰は難しい状況となった。松坂は今季、開幕で出遅れたものの、ここまで5勝2敗と復調していた。

 いつものように、試合前のメニューをこなしていた松坂が突然、異変を訴えたのは、プレーボールのわずか25分前。それまではアップ、キャッチボールなどを繰り返し、ブルペンで本格的な投球を開始した直後だった。ファレル投手コーチ、バリテック捕手が松坂を囲み、状態を話し合った結果、1度は投球を再開した。

 その一方で、同コーチは慌ただしくクラブハウスと電話連絡を取り、「代役」のアッチソンが緊急で準備を開始した。結局、その2分後、松坂は投球練習をストップ。「投げている間に、前腕の外側に急に張りが出ました。投げようと思えば投げられましたが、フォームを変えてまで投げることはないということでやめることになりました」。開始17分前。松坂は観念したかのように、ダッグアウトへ向かった。

 その直後、レ軍は即座に松坂のDL入りと、3Aからリチャードソンの昇格を発表。試合後、フランコナ監督は「彼は投げられると言ったが、それは好ましくないと思った。先発が不在となった試合で、イニングをこなせる投手が必要でDLに入れざるを得なかった」と、経緯を説明した。

 今回のDL入りは前回登板翌日の8日までさかのぼるため、最短で23日に復帰は可能だが、松坂は微妙な言い回しに終始した。「関節ではなく、筋肉の張りなので、自分ではそんなに長くかからないし、それほど深刻に考える問題ではないと思います」。9日には練習中に吐くなど、体調が万全でなかったこともある。

 7日に日米通算150勝目をマークした直後のアクシデント。今季から肩の負担を軽減し、ヒジの使い方を変えた末、体が悲鳴を上げた。今季2度目、メジャー通算5度目のDL入りに、松坂の表情は険しいままだった。