ソフトバンク東浜巨投手(24)は試合後、監督室のドアをノックした。待っていたのは、指揮官の「愛のハッパ」だった。

 工藤監督 打たれることを怒ろうとは思わない。彼の中でうまくコントロールできないところで、うまく投げようという気持ちがあったかもしれない。でも、そういうところを見ているんじゃない。ボールに思いが伝わっているかどうかだ。

 1、2回に本塁打攻勢で援護をもらったが、制球に苦しみ、リズムに乗れない。オリックス糸井に3安打を許すなど、5回途中5失点KOで今季初黒星。球数も降板時点で99球と多かった。指揮官は打たれたことを責めなかった。きれいに投げようとして、マウンドで打者に向かう気持ちを感じ取れなかった。そこを問題視した。

 工藤監督 バッターと戦う思い、負けない思いを出すのが投手。もう1度、しっかりと考えてもらって、強い意志と気持ちを持って、マウンドで戦ってほしい。そういう話をした。素材はあるわけだから、消してしまうのはもったいない。

 首脳陣は東浜の能力を高く評価している。ただし、それを開花させるのは、自分自身だ。次週から登板機会がないこともあり、2軍降格が決定。指揮官は「一皮むけて、大きくなってほしい」と精神面の向上を求めた。東浜も「球数以前の問題です。やり直します」と出直しを誓った。故障者続出のオリックスを相手に、今季初の同一カード3連勝できなかったのは痛い。それでも東浜が成長するきっかけになれば、この黒星も意味がある。【田口真一郎】