トンネルの出口が見つからない…。DeNAが広島に逆転負けを食らい、プロ野球史上初となる「首位からの12連敗」を喫した。1回に筒香嘉智外野手(23)の適時打で先制したが、投手陣が崩れ敗戦。リーグ首位に立っていた3日のソフトバンク戦から12連敗で3位に転落した。スタンドは今季最多の2万8962人のファンが詰めかける大入り満員。中畑清監督(61)は「本当にふがいない。ファンの落胆も大きいと思う」と深々と頭を下げた。

 今季一番の黄色い声援が悲鳴に変わった。1回に幸先よく先制し、2回に逆転を許しながらも、3回にロペスの2ランで再びリードを奪い返した。4回に同点とされ、勝負の終盤戦に突入。連敗脱出を信じた中畑監督は3番手として先発から配置転換したモスコーソをマウンドに送った。「今日はそこが一番の誤算だった」。エルドレッドの2ランなど5安打2盗塁と、やられ放題の4失点で12連敗が決まった。

 前夜に続く大入り満員のファンに合わせる顔もなくなった。指揮官は「少し前にあれだけ勝ちゲームを作ったことが、うそのように感じてしまう。ファンの落胆も大きいと思うけど、これが現実」と敗軍の将が口にする言葉は日に日に威勢が弱まる。この日は「YOKOHAMA☆GIRLS FESTIVAL 2015」と題して、女性ファン限定でスペシャルユニホームを配布した。来場客の女性比率は半数を超える52%(通常は3割前後)を占めたが「格好いい姿」は、見せられなかった。

 首位からの12連敗でプロ野球記録を塗り替えたが、中畑監督自身にとっても12連敗は節目の黒星だった。師匠と慕う巨人長嶋茂雄終身名誉監督が指揮した75年に巨人が11連敗を喫し、その年は最下位に沈んだ。「俺が入団する前の年だろ。知っているよ。ミスターでも11連敗する。そう思って頑張る」。当時のミスターの苦悩と重ね合わせ、必死に立ち向かったが結果は無情だった。

 どん底に突き落とされた中畑監督だが、まだ最後のとりでが残っている。今日21日に先発する三浦の名前を挙げ「明日、わがベイスターズの柱に託してみたい。大輔のパワーに期待する」。チームの現役選手で唯一、98年の日本一を知る「ハマの番長」に連敗ストップを託した。「明日こそは勝ち試合を作って、ファンとともに思いっきり喜びたい」。心の底から声を絞り出した。【為田聡史】

 ▼DeNAは3日ソフトバンク戦から1分けを挟んで12連敗。DeNAの12連敗以上は08年9~10月に14連敗して以来7度目。12連敗以上の回数は広島の6度を抜いて最多となり、00年以降だけで02年5月の13連敗、08年9~10月14連敗に次いで3度目。DeNA以外で00年以降に12連敗以上は12年9月のオリックス12連敗しかない。連敗が始まる前のDeNAは貯金9の首位。61年に4月12日時点で首位の大洋が13日から11連敗をしているが、首位にいたチームが12連敗を喫したのはプロ野球史上初の屈辱だ。