東北福祉大(仙台6大学1位)が、激戦を制して4年ぶり25度目の出場権を手にした。延長10回1死三塁から、5番浅沼佑亮外野手(3年=日大山形)が中前に決勝タイムリー。富士大(北東北1位)を破った。リーグ戦終盤から接戦での強さを発揮し、5シーズンぶりに全国舞台に立つ。明治神宮大会は来月13日、神宮球場で開幕する。

 粘りと勝負強さを身につけた東北福祉大が、神宮切符を手にした。決勝だけ通常の延長形式となった10回に、中前に決勝打を放った浅沼は「いいとこ取りした」と笑い、最優秀選手賞受賞を喜んだ。ベンチ入り25人中20人が出場。総力戦でシーソーゲームを制した。

 今秋から指揮を執る、OBで元西武の大塚光二監督(48)は「1-0でも2-0でも勝てばいい」と言った。他校が力をつけ、リーグ118連勝など、かつての圧倒的な強さはない。同監督も「福祉大には失礼だけど、バットスイングや投手力は富士大の方が一枚も二枚も上」と認める。その中で、粘り強く戦い抜くことが勝利に結び付いた。東日本国際大(南東北1位)との準決勝も、延長11回のタイブレークを制した。

 リーグ最終節の仙台大との1回戦は8回に1点を勝ち越し、2回戦は2点を追う9回に3点を奪って逆転して優勝した。浅沼は「リーグ戦の時から危ない試合をひっくり返してきた。そういう試合を勝ち切ってきた自信があった」と胸を張った。練習では人一倍、大塚監督が声を出す。8回に一時同点となる適時打を放った4番井沢凌一朗(3年=龍谷大平安)は「活気をもたらしてくれる。楽しく明るくです」と言い、雰囲気もガラリと変わった。接戦の強さなど、「大塚福祉大」には新しいスタイルが確立されてきた。

 13年春の全日本大学選手権以来、5季ぶりに全国舞台に立つ。大塚監督は「僕は(大学)1年生から経験して大きくなった。監督として初めて行く。楽しみですね」と、選手の成長を期待する。大学野球の聖地・神宮に、みちのくの名門校が戻ってくる。【久野朗】