中日からFA宣言した高橋聡文投手(32)の阪神入りが決定的であることが14日、分かった。大阪市内のホテルで阪神球団と初交渉。約50分間の会談中、金本知憲監督(47)からも電話で期待の大きさを伝えられた。交渉前から虎入りが濃厚な状況だったが、ダメ押しのラブコールとなった。

 交渉がスタートして20分がたったころだった。金本監督からの電話に高橋聡が背筋を伸ばした。「ケガは大丈夫か? 一緒に頑張ろう!」。サプライズの電話参戦。3、4分、直々に口説かれた高橋聡は「ありがとうございます」と返し、「直接電話で話をするとは思っていなかったので驚きました」と感激の面持ちだ。

 高橋聡のハートに訴えようと阪神の作戦は入念だった。金本監督と交渉役の高野球団本部長が事前に話し合い、高野本部長が「ぜひ高橋選手と話していただきたい」と要望すると、金本監督も快諾。高野本部長は「監督が取ってほしいということで球団としてもその気持ちを伝えさせていただきました」と説明。フロントも指揮官を全面バックアップし、獲得を目指した。

 高橋聡は「(球団からも)『監督がぜひ取って欲しいと言っている』と言われてうれしかったです」と感謝する。近日中に中日に退団を申し入れ、阪神との第2回交渉で入団意思を伝えるとみられる。高野本部長は「今後も交渉を続け、入団にこぎ着けられればと思います」とコメント。次回交渉で決着に持ち込む意気込みを示した。

 金本監督が現役時代の対戦経験を踏まえて「向かっていく姿勢がジェフ(ウィリアムス)に似ている」と、セットアッパーに期待する左腕。この日は藤川の阪神復帰が決まったが、こちらも秒読みといったところだ。

 ◆高橋聡文(たかはし・あきふみ)1983年(昭58)5月29日、福井県高浜町生まれ。富山・高岡第一では2年春にセンバツ出場し初戦敗退。01年ドラフト8巡目で中日入団。10年はセットアッパーとして自己最多63試合に投げ、リーグ優勝に貢献。176センチ、85キロ。左投げ左打ち。