阪神が11日、不法賭博疑惑の渦中にある呉昇桓投手(33)との交渉を終了したことを正式発表した。9日に韓国ソウルの地検に出頭し、疑惑の一部を認めていた。在宅起訴される見通しで、この日の朝、呉昇桓の代理人と協議して交渉の打ち切りを確認。即座に抑え投手の緊急補強に動くことになり、ブレーブスFAのデビッド・アーズマ投手(33)ら米大リーグでプレーする投手を軸に交渉へと向かう。

 粘り強く、熱心に呉昇桓を口説いた残留交渉は想定外の結末を迎えた。7日に不法賭博容疑で検察に召喚されるとの韓国メディアの報道が噴出してから4日後、阪神が苦渋の決断を下した。四藤慶一郎球団社長(55)は「2年間、絶対的クローザーとして大変な活躍してくれて、来年もそういう形でやってくれると期待していた。こういう形になって非常に残念」と無念さをにじませた。

 11月末からくすぶっていた疑惑は、12月に一気にはじけた。呉昇桓は9日に母国韓国のソウル中央地検に出頭し、容疑の一部を認めた。前日10日に韓国紙の中央日報が「検察が呉昇桓を在宅起訴すると発表した」と報じたのが決定打になった。処罰について不透明な状況が続き、この日の朝、阪神が呉昇桓の代理人に連絡して善後策を協議。双方で交渉の打ち切りを確認した。四藤社長は「司法的な判断が出ていません。時間的な猶予の問題で来年の体制を整えるタイムリミットに来ている」と説明した。

 阪神は2年連続セーブ王に輝いた呉昇桓を来季も不動の守護神と見込んで、慰留してきた。悪夢の幕引きに、呉昇桓も代理人を通じて「結果として、こういうことになって非常に残念です。金本監督を始め、期待してくださった球団の皆さんに大変申し訳ない気持ちでいっぱいです」と謝罪した。金本監督は残留を想定して戦力構想を描いていたが練り直しを迫られる。