オリックス金子千尋投手(32)が14日、神戸市内で来季の契約交渉を行い、現状維持の5億円プラス出来高で更改した。国内FA取得の昨オフに4年20億円の大型契約を結び、契約内容に大きな変更はなし。推定4億円の広島黒田が未更改ながら、現時点で金子が来季の球界最高年俸に立った。7勝に終わった今季を振り返り、球団に謝罪したことを明かした。(金額は推定)

 昨年12月24日の残留会見から1年、金子は球団に頭を下げた。「罪悪感と悔しさがあります。(交渉中の謝罪は)過去にもありましたが、今年ほどの強い気持ちは初めて」。ふがいなさと戦い続けた15年の締めくくりが、球団への謝罪だった。

 右肘手術を経て開幕を目指したが、1軍復帰は5月下旬。優勝を目指したチームは出遅れ、森脇監督は休養に追い込まれた。他の主力選手も不振に苦しんだが、連敗を止められる金子の不在は響いた。「自分がいないときにチーム状況が悪く、どうすることもできなかった」。16試合に7勝6敗の数字以上に悔しさと向き合った。

 ただ球団から返ってきたのはいっそうの期待。交渉後に横田球団副本部長は「核になってもらわないといけない選手」と明かしたが、金子にすれば支えをもらった。「やってやる、やるしかないという気持ちになった」と前を向けた。

 「性格上、オレについてこいとは言いたくても言えない」と言うが、チーム力の向上、待遇改善を願う気持ちは強い。交渉の席で、1軍昇格への準備ができるよう、室内練習場のブルペンを京セラドーム大阪と同じ硬さにしてほしいと要望。また年明けの自主トレに今季10勝の東明を伴う。「責任感も向上心もある」と認める後輩に合同トレを通じて取り組みを伝える。

 自身の目標は「1年間、キャンプ、オープン戦、シーズンを通じて11月中までいい状態をキープしたい。そうすれば結果はおのずとついてくると思います」とポストシーズンも見据えた。無敵の右腕復活こそ、チームを救う。【堀まどか】

 ▼金子が5億円で更改し、来季年俸で暫定1位となった。今季の最高年俸は阿部(巨人)5億1000万円だったが、来季は3億2600万円に減額。今季5億円で2位に並んでいた杉内(巨人)が基本年俸は5000万円に激減し、4億円だった内海(巨人)は現状維持。なお今季年俸4億円の黒田(広島)、摂津、松坂(ソフトバンク)は未更改。