阪神がギョー天の珍事に水を差された!? ヤクルト8回戦の6回攻撃中、甲子園の外野芝生に異物が落下し、試合が一時中断した。球場関係者によると、スタンドから投げ入れられた可能性はなく、鳥が落としたものとみられる約25センチの魚の死骸。左翼バレンティンの数メートル先に着地した。攻撃は6安打1得点と低調なままで、まさかな連敗。連休明けには水を得た魚のように当たってほしいぞ。

 ギョギョギョ! 甲子園の空から異物が降ってきた。6回2死の阪神攻撃中だった。数メートル先でドサッという衝撃音に驚いた左翼バレンティンがタイムを要求。畠山らヤクルトナインも落下物の確認に走る中、ゴメスも首をかしげて打席を外すしかなかった。

 何だ何だ? ヘビ? カエル? ガラクタ? あまりにもミステリアスな光景に4万5369人の大観衆もどよめいた。一塁側ベンチの金本監督も苦笑いで推移を見守った。

 数分後、ホウキとチリトリを持った阪神園芸の職員が現場に駆け付け、除去する姿にまたどよめきが広がった。左翼周辺には強烈な異臭が漂っていたという。テレビ中継でもアップでとらえることをためらったのか、落下物の正体は不明のまま。園芸職員が衝撃の事実を明かした。「胃液でドロドロに溶けた魚でした」。頭の部分はなかったが、それでも約25センチの大物だったという。どうやら甲子園上空を飛んでいた鳥が獲物を吐き出して落としてしまったようだ。

 不謹慎ながら「これで流れが変わる」と思ったファンも多かったはず。バレンティンが近寄りたがらないなど、守備ヤクルトの方が嫌な時間帯。そこまでヤクルトの新人原樹に2安打無得点に抑えられていた阪神は、珍事を好転のきっかけにしたかった。だがカウント1-1からの仕切り直しで、ゴメスが右飛に倒れてまた0点。大砲は「あれで集中力が切れたわけでもない」と言ったが、結果的には災い感だけが残った。

 7回に高山の適時打で1点を返し、初めて本物の歓声が起きたが、この日の攻撃はこれが精いっぱい。原樹のシュートにてこずり、左太もも裏痛から4試合ぶりに復帰した4番福留も4打数無安打。3番鳥谷も無安打に終わった。2連敗の金本監督は「投手というより打つ方じゃないですか。乗っていけないのはそこらへん」と厳しい表情だ。

 「安定して勝つには投手の力が必要だけど、乗っていくには打たないと景気付かない。打って走ってやらないと。若いチームなんだから」。不振の江越に2軍再調整を命じた監督は、あらためてナインにカツを入れた。【松井清員】

<甲子園珍客アラカルト>

 ◆イタチ=13年8月31日広島戦 5回表広島の攻撃が始まる直前、突然現れたイタチが駆け回った。藤浪はハプニングにも心揺るがず10勝目をマーク。

 ◆ネコ=08年7月11日広島戦 8回裏1死三塁、鳥谷の打席の前に外野フェンス下部を小さなネコがウロウロ。球場係員が捕まえようとしたが思うようにいかず。阪神はこの回に同点、延長11回サヨナラ勝ち。

 ◆初代? ネコ=03年8月27日巨人戦 阪神3点リードの5回裏アリアスの打席で、ネコがバックネット前を猛ダッシュ。三塁側ブルペン前でUターンし、カメラマン席から三塁ベンチ屋根をつたい、再びバックネット前を通過し一塁側ベンチ内に達して消えた。テレビ中継ではOB川藤幸三氏が「トラが走るっちゅうのはよく分かるけど、ネコが走るんじゃいかんでしょう」と名解説。

<他球場では>

 ◆鳩が落下=13年5月5日西武-日本ハム戦(西武ドーム) 4回裏西武の攻撃中と5回表開始前、外野に鳩が落下。ドーム天井付近でカラスが襲ったようで、人工芝上で動けなくなった鳩を係員が運び出すため試合中断。