日本ハム大谷翔平投手(21)が4敗目を喫した。自己最速タイの162キロをはじめ、160キロ超を7球マークしたが、同点の7回、西武中村に痛恨の3ランを浴びた。7回途中7安打5失点(自責4)。11三振を奪い自身初の3試合連続2桁奪三振を記録する一方で、3試合連続で4失点以上するのもプロ入り初めて。今季8試合に登板し、いまだ1勝と、結果が出ない。

 腰を90度に折った。両手をひざについた。大谷が、力尽きた。同点の7回無死一、二塁、西武中村への131球目。空振りを狙ったフォークが、高く浮いた。「投げる場所が悪い。もっと低く、ボールでもいいというくらいの感じでいくところかなと思う。失投した球は打ってくる」。中堅左スタンド。視界の先で、打球はのみ込まれた。

 直前のメヒアの打球を、遊撃手・中島がエラーした。処理できていれば、併殺を取れていたはずだった。「ゴメン」と謝る先輩に「頑張ります」。気丈に振る舞ったが、球数も増えていた。味方のミスをカバーするだけの余力が、残っていなかった。

 160キロ台が7球。真っすぐは走った。自己最速タイとなる162キロも2度マーク。同点に追いつかれた5回には、中村、浅村、鬼崎を3者連続三振に仕留めた。「(5回に)逆転されなかったことが、今日唯一よかったところ」。3試合連続の2桁奪三振も初めて。マウンドでのパフォーマンスは上がっているが、成績が伴わず、栗山監督は「それだけに問題が大きい。早急に手を打たないといけないかもしれない」と言う。今季は勝負どころで目立つ制球ミス。技術だけではなく、精神的な面にも、原因は広がっているのかもしれない。

 8試合を終えて1勝4敗。チームの連勝も4で止めてしまった。このまま週1度の登板を重ねていったとして、残りは19試合の登板になる計算。ファンの夢であり、大きな目標でもある「20勝&20発」は、早くも苦しい状況になった。「1球1球はよくなってきていると思うけど、ここ一番、僕の中で納得できるボールじゃない。納得できるボールを増やしていきたい」。4戦連発中の打者とは、くっきり明暗が分かれた。投手での低迷は、根が深い。【本間翼】

 ▼日本ハム大谷が西武11回戦(札幌ドーム)で自己最速タイ162キロを2度マークした。5回、メヒアへの3球目(見逃し)、浅村への3球目(ファウル)に記録。162キロはクルーン(巨人)と並ぶプロ野球最速(スピードガンが普及した80年以降)。過去162キロは14年球宴第2戦(甲子園)で2度記録。レギュラーシーズンでは同年10月5日楽天戦(札幌ドーム)で4度。1回1番銀次の2球目(二ゴロ)、2番榎本の3球目(ファウル)、4球目(二安)に連続。2回藤田への4球目(ファウル)。今年3月2日巨人とのオープン戦(札幌ドーム)では、4回ギャレットへの2球目(空振り)に記録。