4年連続11度目の出場の富士大(北東北)が京産大(関西6)に4-2で逆転勝ちし、13年以来3年ぶりに全国で白星をつかんだ。2-2の6回1死二、三塁のピンチから登板した2番手右腕・西村拓真投手(4年=北海)が以降を無失点に抑え、8回に7番小林遼捕手(3年=仙台育英)が2点右前適時打を放ち勝負を決めた。エース小野泰己投手(4年=折尾愛真)は初回に2失点しながらも、5回1/3を投げ4安打2失点で粘った。

 小野だけじゃない! 西村の完璧リリーフが逆転勝ちを呼び込んだ。2-2に追いついた直後の6回1死二、三塁。先発小野に代わって西村が胸を張って悠然とマウンドに向かった。「あらゆる場面で投げてきたから、ピンチでも動じなかった。小野の調子が良くなかったので1回から投げる準備をしていた」。後続を122キロのスライダーで空振り三振を奪って、一気に波に乗った。3回2/3、3安打2三振無失点の好投で、8回の女房役小林の決勝打を引き出した。

 140キロ前半の直球に加え、ブレーキの利いた120キロ台のスライダーが内角に決まった。「フォームが固まって、変化球でストライクがとれるようになったのが大きい」。冬場は塁間の幅で体を大きく使う投げ込みを繰り返してきた。この日、決勝打を放った小林も「西村さんのスライダーがキレていた」と3球連続で要求する強気なリードでチームをもり立てた。

 春のリーグ戦で小野が不調だった間、西村と同期の和田が投手陣を支えた。「小野が調子悪かったので4年生でカバーしたかった。1年生の時から結果を出せてなかったので、悔しかった。やっと結果を出せた」。1年春、3年春に2度全国で登板経験があったが、実績面では小野、和田に先を越されていた。今春は6試合中1試合に先発し2勝を挙げて支え合い、リーグ5連覇に貢献した。

 14年に就任し、3年連続の出場で選手権初勝利を挙げた豊田圭史監督(32)も西村を絶賛した。「あの場面は三振がとれる西村だった。よく我慢して投げた」。明日8日の次戦で昨秋の神宮王者・亜大(東都)と激突する。西村は「挑戦者の気持ちで攻めていきたい。俺が後ろに控えているから先発には全力で投げて欲しい」とフル回転を誓った。【高橋洋平】