阪神高山が4スタンス理論を初注入された。秋季キャンプの特別講師として4スタンス理論の考案者・広戸聡一氏が10月31日、球場を訪問。フリー打撃から密着マークで指導を受け「(同理論は)初めて。いい機会でした」と充実感を漂わせた。

 高山が3カ所の打撃ケージを移る度、広戸氏も移動する。身ぶり手ぶりの指導にとどまらずベンチ横の部屋に移動。金本監督も加わる中、原口と体の仕組みをチェックされ、自分に合ったフォームを提案された。「一番言われました」と語るのは、構えからトップにもっていくまでの動作。直後のロングティーでは構える際、1度バットを体の中心で立てて両手を内側に絞り、トップの位置に移す動作を追加。体にあったバットの軌道に入れるためだ。

 広戸氏によれば、高山は4つからなるタイプの中で金本監督と同じ「B2」。球界では元ヤンキース松井秀喜氏、西武中村剛ら強打者が同タイプになる。

 広戸氏 疲れがたまると、やりたいことができていない。体幹をうまく使えたら、監督が普段からおっしゃっていること(と同じことができる)。狙いは体をトータルで使うための体幹の使い方。

 金本監督は高山の前で自ら素振りやロングティー11球を振り抜き、広戸氏の意図を実演。「(広戸氏の指導は)足の配置とか腰とか。それが終わった後、いきなり変わったのが分かった」と効果に目を丸くした。練習後は宿舎で講習会にも出席。「自分のものにしないと意味がない」と高山。2年目の進化に向け、新たな引き出しを作り上げる。【山川智之】

 ◆4スタンス理論 スポーツアドバイザーの広戸聡一氏が提唱。無意識の動作の中で、かかる重心が人によって異なるとされる。つま先内側(A1)つま先外側(A2)かかと内側(B1)かかと外側(B2)の4タイプに分かれており、それぞれに合った体の使い方、形で、自然に効果的な動きを目指すというもの。

<打者の4スタンス理論>

 ◆A1 手足の指先かつ、内側でバランスをとっている。ひざとみぞおちを対角線上に伸ばすように体幹を扱う。代表格はイチローとされる。

 ◆A2 手足の指先かつ、外側でバランスをとっている。ひざとみぞおちを直線的に扱うタイプで、体の前足を軸にして豪快に振り切る打撃が特徴。代表格は王貞治氏とされる。

 ◆B1 手のひらやかかと、かつその内側でバランスをとる。股関節と肩を直線的に扱うタイプであり、その場で力強く回転するスイングが特徴。代表格は長嶋茂雄氏とされる。

 ◆B2 手足の指先かつ、外側でバランスをとる。股関節と肩を対角線的に扱うタイプ。後ろの軸で球を捉えるようなスイングをする。代表格は阪神金本監督や松井秀喜氏とされる。