ヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手(32)の来季残留が22日、決まった。今季が3年契約の最終年だったが、新たに1年契約を結ぶ。推定年俸は現状維持の300万ドル(約3億3000万円)プラス出来高払い。奥村編成部国際グループ部長は「本日、合意しました」と話した。

 退団濃厚の状態から一転しての残留だった。かねて球団内では「バレンティン不要説」が浮上していた。理由は「度重なる故障」と「高年俸」。昨季は左アキレスけん痛と、左太もも肉離れの手術の影響で出場15試合で1本塁打。今季も開幕前に左脇腹肉離れを起こすなど、1年を通じての貢献度が低くなったという見解があった。

 今季年俸300万ドルは契約時のレートで約3億6000万円。チームトップの数字だった。球団関係者は「100打点を記録しても、守備のミスで何点相手に与えているのか。見えない失点が多い」と守備力の低下も指摘していた。ただ同時に、過去の実績については評価していた。13年にはプロ野球記録の60本塁打を放つなど、パワーは申し分なく、今季も31本塁打で96打点を稼いでいる。当初の交渉では減俸の2億5000万円を提示したが、交渉の余地は残していた。

 球団は今季国内FA権を取得した中日平田良介外野手(28)に注目しており、権利を行使した場合には獲得に乗り出す構えだった。だが、結果的に平田は残留を表明。右打ちの外野手は手薄なため、バレンティンへの条件をアップして残留を実現させた。ただ、インセンティブの部分に「守備率、併殺の少なさ」を新たに追加した。“尻をたたく”形で、打線の軸として期待を寄せる。