中日が、広島のお株を奪って森監督の「初陣」を飾った。昨秋の監督就任時に広島のような機動力野球を目指すと宣言。徹底的に走塁改革を進めてきた。昨年7勝17敗1分けと苦しめられた“本家”に新生中日を印象付けた。

 1-1の7回1死一塁。塁上の堂上がリードを広げる。昨年より1歩半も増やしたリード幅。帰塁の練習は毎日やってきた。対面する左腕塹江に「走るぞ」と重圧をかけた。2打者の間に計4球、一塁に投げさせた。昨年までの堂上にはなかったことだ。「一番は堂上が出て、けん制をもらったことだな」。指揮官は逆転勝ちの立役者として名前を挙げた。

 散々揺さぶり、打者木下拓にヒットエンドランのサイン。走る雰囲気も察している広島バッテリーの警戒はMAX。注文通り、真ん中に来た半速球を木下が左中間に打ち返し、一塁から堂上が生還。決勝点になった。俊足ではない堂上は「(走る)雰囲気を出すこと。スキあらば盗塁もと思っている」と言う。6回も内野安打1本で同点の1点をつかんだ。

 指揮官は「やることをやればこういう試合ができる。投手の心理を動かしてくれたらいい。(投手に)ノーマークで打者に集中させることはなくなってきたかな」とニンマリ。練習試合から含めて6連勝。最下位チームが着実に変わり始めている。【柏原誠】