チームが負け越しても、日本ハム大谷は好調を維持した。1点を追う4回1死、西武ウルフのカーブをフルスイング。ジャストミートではなかったが左翼席に届かせた。今季1号を含む2試合連続の3安打。打率6割6分7厘と8安打は、開幕カード終了時点で両リーグトップ。「右(方向)にも引っ張れているし、左にも大きいのが打てている。状態は悪くないと思います」。

 2カ月前は、絶望のふちにいた。今年の目標として書き記した「世界一」。オフのトレーニング計画は、WBCから逆算して立てた。だが、右足首の痛みは癒えず、出場を断念。あまりの喪失感に「だったら手術します」と球団幹部に要望したほどだった。手術をしていれば開幕にも間に合わない。冷静さを失っていた。救ってくれたのは、野球だった。「今しかできないことがある」とできる範囲のトレーニングに打ち込み、打撃フォームにも手を加えた。「世界一」とともに立てたもう1つの目標「連覇」。打者としてチームに貢献することに集中した。

 試合前には、栗山監督から「ゲームでどこまで意識できるかだ」と“説教”されたという。前日1日の内野安打時に、痛めている右足で一塁を踏み込んだ。さっそくこの日は8回、投手強襲安打を左足で駆け抜けた。負け越しで開幕3連戦を終えるのは、日本一になった昨年と一緒。「個人的にはまずまず。いいんじゃないかと思います。アウトの内容もいい」。大谷が、負け越しのチームを意気消沈させない。【本間翼】

 ▼大谷が前日に続いて3安打を放ち、プロ入り初の2試合連続猛打賞。現在、12打数8安打、打率6割6分7厘で打率トップに立っているが、アウトになった4度は2ストライク後の打席。0、1ストライクでは8打数8安打の打率10割。