強い。楽天は投打がかみ合い、5連勝していた西武に完勝した。4回、カルロス・ペゲーロ外野手(30)がライト場外に消える10号満塁本塁打。球団の測定機トラックマンがはじき出した飛距離は153・1メートル。先発美馬からの継投も危なげなく決まった。選手の状態を見極めて離脱を未然に防ぎ、能力を最大限に発揮させる梨田昌孝監督(63)の手綱さばきが際立つ。離脱者なし、イヌワシが一丸で首位をひた走る。

 巨漢が思いきり腰を切った。131キロのスライダーが時速189・5キロですっ飛んで、153・1メートル先のライト場外に落ちた。先発美馬なら、4回のグランドスラムで楽天の勝ちは決まった。ペゲーロは「神様のおかげだね」と言った。敬虔(けいけん)なクリスチャンに天が力を貸した。ただ、こう言い換えてもいい。梨田監督のマネジメント能力が、Koboパーク宮城で“最長不倒”の本塁打を打たせた。

 腰に不安のあるペゲーロを監視し、巧みに操っている。前日。大阪からの移動試合は練習を本人に任せた。「練習は行方不明でいい。室内でやっている。試合に来ればいい」。足首に不安のあるウィーラー、調子にムラがあるアマダーと、指名打者を使い分けている。「長く離脱されると困る。うまく調整して、かつ、勝っていかなくてはいけない。一番難しいんだけどね…」。気配りは外国人にとどまらない。

 塁を埋めた島内、岡島、嶋は、前日の試合でスタメンから外れていた。「万全でない面もある。疲労もある。1つになってやっていくことがベスト」。3割を超えていようが正捕手だろうが、体調を見極めて使わない勇気がある。