交流戦勝率１位のかかる６連戦の初戦で、阪神先発秋山拓巳投手（２６）が勝利への道を切り開いた。西武の強力打線を相手に７回途中８安打２失点と力投。走者を背負いつつ、踏ん張って、今季６勝目をつかんだ。交流戦では３戦３勝。パ・リーグの猛者をねじ伏せた自信を胸に、虎のリーグＶへの原動力となってくれるはずだ。

　秋山が最大の踏ん張りどころで直球勝負を挑んだ。１点リードの５回１死三塁。まずは西武秋山と対峙（たいじ）。フルカウントから内角ギリギリに決め、見逃し三振。続く４番浅村には高めの速球を連投。思いっきり腕を振った２球目で遊飛に打ち取った。「抑えられて良かった」。夜空に力ない飛球が上がった瞬間、雄たけびを上げてグラブをたたいた。

　獅子打線に２発を浴びたが、いずれもソロアーチ。７回途中まで粘り、今季６勝目。交流戦では３戦全勝と見事にパの強力打線から白星を奪い取っていった。だが、それでも、７回途中交代に悔しさを隠さなかった。「中継ぎの方に負担をかけてしまいました」。７回は先頭を打ち取りながら、１死後に連打で一、三塁のピンチを招いて交代した。そんな言葉にも主力投手に成長しつつある現状がにじんでいる。

　金本監督も「ホームランを２本打たれて、シーズンで初めてローテーションを守っているので、疲れがたまっているのかな、という感じだった。岩崎にスイッチしたが、あそこを何とか踏ん張れるようにね。これから１つの課題として、もうひとつ成長できるようにがんばってほしい」。飛躍できる才能があると認めているからこそ、あえてさらなる成長を促した。

　これまで２軍暮らしの長かった２６歳。過去のシーズンとは疲労の蓄積も違うはずだ。今回は投球練習を２日前から３日前に変更していたが「特に違和感はなかった」。試行錯誤しながら戦う右腕。交流戦ラストウイークの初戦も制した秋山が、リーグ戦でも「火曜の男」を全うしてくれるに違いない。【山川智之】