ハーラートップに並んだ! 広島薮田和樹投手(24)が6回1失点の好投でリーグトップタイの7勝目をマークした。立ち上がりから武器の直球ではなく、変化球主体で中日打線の的を絞らせなかった。1点を失った6回で降板したが、打線も主砲エルドレッドの3打席連続アーチなど大量8点で援護した。中継ぎから先発転向後、4戦4勝。先発の一角として首位を快走するチームをけん引する。

 球場の蒸し暑さとは対照的に、マウンドの薮田は涼しい表情で大胆に攻めた。ツーシームやカーブを交え、150キロ前後の直球を効果的に使った。5回まで走者を許しても連打を許さず、スコアボードに「0」を並べた。6回には2死一塁から連打で1点を失うも、最少失点で勝利をたぐり寄せた。打線も、エルドレッドが来日初の3打席連続本塁打などで8点を奪い援護した。

 「1発だけ打たれないように、高低をはっきり意識して投げました。野手の方に大量点をもらって投げやすかった」

 降雨ノーゲームとなった前回先発の24日阪神戦は4回3失点だった。前回の反省を生かし、試合前にバッテリーを組む会沢と相談し、序盤は変化球を多めに使った。蒸し暑い中でも、水分とプロテインを補給し、マウンドでは攻める気持ちを貫いた。6回までプロ入り最多となる123球を投げ切った。

 開幕時の敗戦処理の立場から先発の勝ち頭へとのし上がった。亜大時代は公式戦登板なし。投手として消耗品ともいえる肩ひじは丈夫そのもの。開幕から中継ぎでフル回転も「全然疲れていない。今は毎試合でも投げたい気持ち」と投げる喜びを感じていた。先発転向後も「ローテを守りたい」と登板意欲は変わらない。暑さ対策も、栄養士の資格取得を目指す夫人の手料理で万全。心身ともに充実している。

 先発転向後4戦4勝で7勝目。ハーラートップに並び、初の2桁勝利だけでなく、最多勝も夢ではなくなった。「目指せる位置にいる。(同じ7勝の)岡田と競えるように頑張りたい」。薮田の好投でチームは連勝。貯金を今季最多の20とした。緒方監督も「前回から修正して、緩急を使った投球をしてくれた。しっかり試合を作って、ナイスピッチング」とたたえた。登板に飢えた薮田が、これからも貪欲に勝利のために右腕を振り続ける。【前原淳】