阪神が16安打10得点で、単独2位を死守した。4試合ぶりにスタメン復帰した5番中谷将大外野手(24)が、劣勢ムードをガラリと変えた。2点差に引き離されて迎えた3回1死一塁。DeNA飯塚の内角直球を迷いなくフルスイングした。高々と舞い上がった打球は、左翼席の上空を通過して、場外の7番ゲート付近に着弾。推定145メートルの同点8号2ランが、反攻の号砲だった。

 中谷 点を取れた後だったので、チャンスを広げるためにもつなぐ意識で打席に入りました。感触は良かったですけど、場外まで飛んだとは思っていませんでした。

 打った本人もビックリの飛距離。横浜夕暮れの驚きは、これで終わらなかった。直後に打席に立った6番原口文仁捕手(25)が、黄色く染まった左翼スタンドに白球をプレゼントした。2ボールから3球目を狙い澄ましたようにジャストミート。左翼席中段に突き刺した。5月21日ヤクルト戦の高山、上本以来、今季2度目の2者連続本塁打。若き虎の大砲候補コンビが、花火を上げた。

 若虎たちは崖っぷちだった。金本監督の発言に若手への不満が増えている。「野手でよくやったな、というのは誰もいないよ。ゼロですよ」と、アピール不足と一刀両断。ヒーローインタビューで中谷は「結果が出て良かった」と安堵(あんど)の顔で答えた。中谷、原口のライバルとなる新外国人ロジャースがこの日、来日。生存競争が虎の推進力になりそうだ。【桝井聡】