広島新井貴浩内野手(40)が9回2死一、三塁から代打逆転決勝3ランをバックスクリーンに打ち込んだ。

 バティスタ、菊池のソロの後、丸が四球、松山が適時二塁打でつなぎ、西川も内野安打。2点差に迫り、打席に立った。「みんなが回してくれたし、なんとかしたいという気持ちだった」。ベンチも一塁走者を西川から野間に代えた。マウンド上の小川にプレッシャーをかけ、クイックタイムが遅くてもスタートを自重させた模様だった。

 新井は直球を完璧に運び、悠々とダイヤモンドを1周。表情がようやく崩れたのは生還して上本、野間とハイタッチしてからだった。お立ち台ではマイクでも声がかき消されるほどの大歓声。「いつも、いつも、いつもありがとうございます」と叫んだ。最大6点ビハインドをひっくり返し、チームを貯金21に導いた。「誰も諦めていなかった。つないでくれたみんなと、ファンのみなさんに打たせてもらった」。通算2000安打、300本塁打も放った好相性の神宮で、みんなのために。空を撃ち抜く、大アーチだった。【池本泰尚】