阪神西岡が黄色に染まった甲子園に帰ってくる。左アキレスけんを断裂してから約1年。地獄からはい上がってきた男が、ついに今日17日に1軍登録される。前日15日からチーム本隊に合流し、16日も甲子園で最終調整。福留とのキャッチボールを終えると、投内連係では一塁、中堅、遊撃と当たり前のように3ポジションで守備練習を行った。フリー打撃では、左打席、右打席と鋭い打球を連発した。

 練習前のグラウンドには四藤球団社長の姿があった。待っていたのは背番号5の登場。「いよいよ開幕だね」。歩み寄った社長からは、そう言って握手を求められた。西岡は真剣な表情で「ありがとうございます」と、深々と頭を下げた。

 ただ、ポジションを確約された立場ではない。たとえ実績のある西岡であっても厳しい生存競争にさらされる。前日15日に「ちょっとこれは難しいよ」と、西岡の起用法について熟考する姿勢を示していた金本監督。この日も今日17日広島戦のオーダーが固まったか? と問われて「まだですね」。ベンチスタートが濃厚だが、サプライズのスタメン出場もゼロではない。

 西岡は前日に引き続き、出場選手登録される前ということで報道陣に言葉を発することはなかった。だが、スイッチは完全に切り替わっている。打撃練習を終えても、バント練習場のマシンを相手にセーフティーバントの練習。その後も若手に交じってセンターで打球捕を続けた。

 8ゲーム差で追いかける首位広島といきなり激突。その試合に西岡がいるという事実は大きい。プレーはもちろん、グラウンド外でもチームの雰囲気を変えることができるムードメーカー。誰もが西岡の帰還を待っていた。さあ、逆転Vへ。大暴れしてくれ!【桝井聡】