守りのほころびが響き、金本阪神が2位の座も明け渡した。1点差に迫った直後の8回守備で、左中間に上がったDeNA柴田の飛球を中堅中谷と左翼大山がお見合い。この適時二塁打から2点を失い、9回1点差まで詰め寄ったが結果的に痛恨のプレーになった。金本監督は「使っている僕の責任」と厳しい表情。4月26日以来の3位後退で、首位広島とは今季最大の11差。明日28日にも自力V消滅の危機に立たされた。

 追い上げムードに水を差す、痛恨のプレーが起きた。1点差に迫った8回1死三塁。藤川が打たせたDeNA柴田の打球が、左中間に飛んだ。左翼大山が先に手を挙げ、中堅中谷も捕球体勢。だが、次の瞬間、両者譲り合う形でまさかの“お見合い”で打球が落ちた。外野フライが一転、2点差に広げられる適時二塁打になった。

 さらに宮崎にも適時打されてこの回2失点。8回、9回も粘りに粘って1点ずつ返したが、あと1点届かなかった。金本監督は、最終的に重い失点となったこのワンプレーを、自らの責任と受け止めた。

 「それはルーキーで素人を守らせている僕の責任ですから。ある程度のミスは、覚悟して使っているわけですから。そんなことを怖がっていたら、いつまでたっても、選手を使えないでしょ?」

 糸井が負傷離脱している状況で、故障明けの西岡に休養日を与えた。打撃面で成長著しいドラフト1位大山を積極的に起用。三塁が本職で、外野はプロ入り後に本格的に練習を始めた。急造は否めず、中谷との連係がうまくいかなかった。

 結果的に守備の乱れが勝敗を左右した。それでも、今季初対戦となったウィーランドを序盤に攻略できなかったことも敗因の1つになった。中でも1番高山は4打数無安打2三振。金本監督も精彩を欠く打撃に渋い顔だ。「ずっと合っていない。タイミングが遅いのは、自分がリズムを作って、思い出すしかないんだから。去年1年間、経験しているんだから。打てない時の修正方法とかを自分で見いださないと、先に進めない」。若虎の伸び悩みが打線を重たくさせている。ルーキー大山に多くを求めざるを得ない現状がある。

 坂本の適時打で1点差に迫った9回、一打逆転サヨナラかと盛り上がった9回1死一、三塁の好機は上本と福留が連続三振。2位で並ばれていたDeNAに連敗し、3位に落ちた。「だから、あと何試合あるんだ? 残り5試合なら、焦るけどね」。金本監督はこの時期の順位変動に一喜一憂しなかった。しかし、ズルズルといくわけにはいかない。自力優勝が消滅する瞬間も近づいている。【田口真一郎】