阪神鳥谷がまた球団史でランクアップだ。通算出場試合数は遠井吾郎を抜いて単独4位の1920試合に達した。4点リードの8回1死一、二塁。痛烈なゴロで右翼線を破り、貴重な適時二塁打で突き放した。

 それでも、バスへの引き揚げ間際に「初回に打てれば、一番良かったんですけど…」と反省が口を突く。1回は2死満塁で遊ゴロに倒れた。先制機こそ凡退したが、振りは鋭い。4回は先頭で直球が続いた後、左腕バルデスの外角スライダーに逆らわず中前に運び、後続の2点追加を呼び込んだ。17日広島戦以来、9戦ぶりのマルチ安打だった。

 プロ14年目、36歳ベテランの円熟味が光る。長らく打率3割ラインを推移していたが、やや下り坂で25日DeNA戦は2割8分9厘まで下がっていた。何げないしぐさに工夫がにじむ。最近は打席で構える際、イチロー(現マーリンズ)のようにバットを投手側に向けて立てる。体勢を整え、細かく調整しているのだ。

 チームトップの打率は2割9分3厘まで回復し、通算2000安打まで残り41安打とした。春先は手探りだった三塁守備も安定し、攻守ともにチームを支えている。

 糸井を故障で欠き、福留には休養日を設けながら、試合を消化する。真夏に入り、球界に誇る鉄人が「無事これ名馬」の存在感を示す。【酒井俊作】