期待の若手が、バットと足でアピールした。4日に今季1軍初昇格を果たしたオコエ瑠偉外野手(20)が、ロッテ14回戦(Koboパーク宮城)に「9番右翼」で出場し、今季初安打、初打点を含む2安打1打点と結果を残した。2回の第1打席、左前打で二塁を陥れ持ち味を発揮すると、8回の第4打席では好機で適時打と、成長した姿を見せた。チームも、5試合ぶりの2桁安打となる14安打8得点で、7月22日以来の連勝を飾った。

 オコエが一塁ベース上で右手を掲げ、今季初「BURN!」で喜びを爆発させた。8回の第4打席、1死二、三塁の好機。ロッテ4番手の松永に、2球で追い込まれても冷静だった。「くるのがわかっていた」と3球目のスライダーを鋭く振り抜くと、打球は三遊間を抜き左前に到達した。「1軍で活躍できて、この上ない喜び。やっていて楽しい」と、今季初めての適時打の余韻を確かめた。

 持ち味である足でも魅せた。2回の第1打席。2死から涌井の変化球を左前に運ぶと、トップスピードで一塁ベースを蹴り、二塁を陥れた。「隙があればどんどんしていきたい」。積極性を披露したオコエの好走塁に、梨田監督は「あれが持ち味。どうかな? と思ったけど、楽々セーフだったね」と大きくうなずいた。

 アピールには成功したが、満足はしていない。「今は『結果を出さないと1軍には上がれない』という思いがある」と危機感を口にする。今年2月に右手薬指を手術し、大きく出遅れた。当時は「バットが振れないのが悔しい…」と嘆いていた男は、4月に実戦復帰を果たして以降、精力的にボールを打ち込み「振る力が増した」。バットを寝かせたフォームに変えたことで「いいポイントでボールを捉えられる」と、自らの成長を実感する。2軍で25試合に出場し、打率3割1分7厘。結果を出し、満を持して1軍で勝負する。

 チームは主力に故障者が続出する苦しい状況。そんななか、梨田監督が「オコエもそうだが、田中も盗塁を決めてくれたり楽しみ」と、若手への期待はますます高まる。今日6日は、ドラフト1位ルーキーの藤平が本拠地初登板。「ファンもたくさん来るだろうし、期待している」と同監督は奮起を促す。若い力で、勢いを取り戻してみせる。【田口元義】