DeNAが闘魂注入された。夏のスペシャルイベント「勝祭 2017」の試合前、横浜市出身の元プロレスラー・アントニオ猪木氏(74)が登場。マイクを手にマウンドへ上がると、あの決まり文句から始めた。「元気ですかーーーっ!? 元気があれば何でもできる。元気があれば優勝もできる」。普段は闘魂のシンボルとして赤いマフラーを巻くが、このときばかりはDeNAのチームカラーの青いマフラーを首に巻き、「どうでしょうか?」と少しはにかんだ。

 満員の球場からは歓声が飛び、リングさながらの熱気に包まれた。注目を集め、はたして誰が闘魂を注入されるのか? そんな疑問が浮かび上がる中、猪木氏の口から発せられたのは「ゴメス選手、出てこいっ!」。DeNAの55番を背負い、ゴメスの異名を持つ後藤武敏内野手(37)。ベンチから飛び出すと、まるでそこにあるかのように、リングを囲むロープをかいくぐってリングイン。左頬を差し出しビンタ1発、闘魂を注入された。

 ゴメスのふらつく足取りをよそに、猪木は「思いを念じてもらいたい」と最後の締めに取りかかる。スタンドの観客は全員立ち「1、2、3、ダァ~~~!!」。ボルテージは最高潮に達し、2ゲーム差の2位阪神と3位DeNAのゲームが、プレーボールを迎えた。

 試合は先発石田健大投手(24)が崩れ、大量リードを許す展開。そんな中、7回1死一塁の場面で闘魂注入された後藤が代打に送られる。同氏のテーマソング「炎のファイター」を登場曲に打席に入ると、初球を強振も遊ゴロ併殺打に終わった。後藤は「(ビンタで)気持ちがスッキリした。気合が入ったけど、あれで勝てるのがベストだった」と悔しがった。