大きな1勝を刻んだ。巨人菅野智之投手(27)が、6安打1失点無四球で今季5度目の完投勝利をマーク。球団では12年内海以来、日本人右腕では03年上原以来の15勝に到達し、ハーラー単独1位の座を守った。今季ヤクルト戦4戦4勝目で、3位DeNAに1ゲーム差と肉薄。エースの貫禄でカード3連勝、Aクラス返り咲きへ弾みをつけた。

 内容でも結果でも圧倒すると決めていた。カード頭の登板に戻った菅野が、初回から次々にストライクを投げ込んだ。150キロ前後の直球でファウルを奪い、内外の低めにスライダーを落として打ち取る。9回を107球、2時間35分の完投勝利。3ボールさえ7回のリベロの1度だけという「超攻撃的投球」でヤクルト打線を圧倒した。「中継ぎが前のカードで投げているし、僕はカード頭。長いイニングを投げて3連勝を決められるように」とエースの責任感でねじ伏せた。

 勝つべくして勝った。前日7日のヤクルト戦をテレビ観戦。早いカウントからの打撃で14安打11得点の相手打線を見て、攻略パターンが頭に浮かんだ。「初球からどんどん振っていた。怖がってボール球を投げると、カウントを悪くして打たれる。恐れずに投げようと。昨日からイメージが湧いていました」。9回に味方失策から1点を失い、球団では96年斎藤以来のシーズン4完封は逃した。それでも切り替えて、最少失点で終えたところがエースの意地と貫禄だった。節目の15勝目を「僕だけの力じゃない」と仲間に感謝した。

 次回は中5日で14日の阪神戦(甲子園)に登板する可能性が高い。「阪神戦にも勝って、チームで巻き返さないといけない」と余韻に浸らず、敵地をにらんだ。3位との差はわずか1ゲーム。チームが5位に沈んだ時にも「僕はまだ諦めていません」と言い続けた。Aクラス再浮上が現実になりつつある。【松本岳志】