緒方監督お先に! 広島がファーム日本選手権で巨人を下し、26年ぶり2度目の出場で初の2軍日本一に輝いた。ドラフト4位の高卒ルーキー坂倉が、守ってはバッテリーを組んだ同学年の先発高橋昂の好投を引き出して、打っては決勝3ラン。攻守にわたる活躍で、MVPに輝いた。記念品の焼酎は未成年のため飲めないが、1軍よりも一足先に日本一の美酒に酔いしれた。

 2軍でも「逆転の広島」が発動した。6回まで巨人今村の前に2安打。三塁も踏めなかった。だが2点ビハインドの7回。2番手高木勇から2者連続適時打で同点とし、左の森福に代わった1死一、二塁で坂倉が試合を決めた。「初球を振らないと負けだと思っていた」。初球、119キロ内角スライダーに反応。思い切りバットを振り抜き、右翼席へ放物線を描いた。

 MVPの予感はあった。試合前のフリー打撃が「よく飛んだ、よく飛んだ」と好感触。先輩選手にふざけながら「(MVPの賞金)50万円も見えてきたかな」とニヤリと笑う余裕を見せていたのが現実になった。1年目から1軍3試合に出場。球団の高卒野手1年目の昇格は鈴木以来で、同捕手としては65年衣笠以来となる初安打も放った。広島の未来を担う逸材が、新たな歴史を切り開いた。【前原淳】

 ◆坂倉将吾(さかくら・しょうご)1998年(平10)5月29日、千葉県成田市生まれ。酒々井中では八千代中央リトルシニアに所属し、3年時に全国優勝。日大三では外野手として1年秋から4番。2年秋から正捕手。高校通算25本塁打。16年ドラフト4位で広島入団。176センチ、82キロ。右投げ左打ち。