楽天森雄大投手(23)が、ロッテとのシーズン最終戦(Koboパーク宮城)で今季初勝利を挙げた。3回から2番手としてマウンドに上がり、7回途中まで相手打線を1安打無失点。14年5月1日以来、約3年半ぶりの勝ち星を飾り、来季へ向け収穫のある登板となった。チームはレギュラーシーズン最終戦で勝利し、勢いを持続させ2位西武とのクライマックスシリーズ(CS)に臨む。

 シーズン最終戦で、森が待望の勝ち星を手にした。CSへ向け調整登板の先発岸が2回で降板。3回からマウンドに上がった森が、6回まで1安打とロッテ打線を手玉に取った。7回に1死三塁のピンチを作り後続に託したが「最後はバテてしまったが、勝ててすごくうれしい。岸さんの後に投げたので、いい形で終われるようしっかり投げた」と、14年5月1日以来の勝利をかみしめた。

 例年以上に危機感のある1年だった。今季はドラフト1位ルーキーの藤平が、シーズン終盤からローテーションに定着し3勝と結果を残した。「藤平だったり、他の若い選手が1軍で投げているのを見て危機感はすごくあった」。若手の台頭が目立ち競争が激しくなったが、13年のドラフト1位は、焦らず自分を見つめ直した。

 2軍での調整期間に、投球フォームをワインドアップからセットポジションに変更。「セットにしてから、チェックポイントを確認しやすくフォームが安定した」。前回登板まで7試合21四死球と制球難に苦しんでいた男は、過去の自分との決別を図った。

 ロッテ戦では、勝てなかった約3年半、2軍での練習の成果をぶつけた。この日最速146キロの速球をコーナーに投げ分け、小さく鋭く曲がるスライダーでロッテ打線を圧倒。4回2/3を投げ1安打5奪三振、2四球の内容に「ファームで空振りを取れていたスライダーが1軍でも通用した。やってきたことを出せたと思う」と納得した。

 14日からの西武とのCSメンバーには入れなかった。それでも、梨田監督は「テンポがよかった。球数も少なかったし、いい投球をしてくれた。来年に向け収穫があったと思う」と評価する。森自身も「フェニックスリーグで課題に取り組みます」とすでに気持ちを切り替え、来季の逆襲を誓った。【田口元義】