16日に予定されていた阪神-DeNAのセ・クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第3戦(甲子園)は雨天中止となり、今日17日に順延された。前日の第2戦は、開始63分遅れで雨と泥まみれの中で強行されたが、この日はさらに状態が悪化。長年、甲子園の整備を手がける阪神園芸もお手上げで、午後3時に早々と中止が決まった。

 雨中の強行開催から一夜明け、甲子園はこの日も泥沼状態だった。内外野一帯が水浸し。特に土が掘れた内野には、大きな水たまりがいくつもできていた。雨と泥にまみれた前日の激闘を物語るように、グラウンドはデコボコ。スライディング跡やスパイク跡も雨ざらしで残っていた。断続的に降りしきる雨…。前日は開始を63分遅らせてまで決行した。だがこの日は、試合開始3時間前の午後3時に中止が決まった。

 前日と正反対の決断について、NPBの杵渕和秀セ・リーグ統括(49)は「昨日と決定的に違うのはシートを敷けず整備もできず、予報も悪い点です」と説明した。15日は14日の第1戦終了後に内野をシートで覆えた分、プレーボール時点で内野に雨水が浮いていなかった。だが、1度水浸しになればシートをかけても意味がない。この日は土が流れるのを防ぐため、マウンドと打席の2カ所だけシートで覆われたが、内外野は雨に打たれ放題だった。

 幾多の困難を克服し、開催にこぎ着けてきた阪神園芸もお手上げだった。甲子園施設部長の金沢健児さん(50)は「これだけ水に漬かると整備できません。予報も昨日より悪いし、さわりようがない。今日は外の作業はしていません」と説明。前日は速乾性があり、メジャー球団も使う「クイックドライ」という特殊な土を毎回入れ替えるなど懸命に整備し9回完了に努めた。だが、この日はそれ以前の問題、なすすべがなかった。

 杵渕セ・リーグ統括は中止報告も兼ね、阪神金本監督とDeNAラミレス監督のもとを訪ねた。「昨日の厳しい状態の中でも、早くやめようとか審判にも文句を言わずに、やっていただいたことへの感謝です」。金本監督は「あの状況でナンダカンダと後から言ったってね。負けた方が何を言ったって、そのせいにしているとしか聞こえないですよ」と苦笑い。それでも「けが人が出なかったのは幸いでしたね」とうなずいた。

 予備日で第3戦が組み込まれた17日は、天気は回復する見込み。阪神園芸は通常通り、試合開始9時間前の午前9時に担当者10人が集合する。金沢部長は「晴れか曇りか雨か。水がどれだけ浮いているか、風があれば速く乾くし、いろんな状況を見ながら、午後6時開始を逆算して、ベストに仕上げたいと思います」と力を込めた。CSファイナル進出チームが決まる運命の一戦。その道のプロが丹精を込めて、最高の甲子園に修復する。【松井清員】