ソフトバンクの逆襲が始まった。楽天に2連敗を喫して迎えたクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第3戦。4番内川聖一外野手(35)がCS同一ステージ最長タイの3試合連続アーチを放つなど打ち合いを制し、ソフトバンクが初白星を挙げた。対戦成績はアドバンテージの1勝を含め、2勝2敗のタイに。CS通算打点をパ・リーグ単独トップの21としたCS男・内川が、工藤ソフトバンクを日本シリーズへと導く。

 9回、ウイニングボールをキャッチすると、内川は一塁上で力強くガッツポーズし、雄たけびをあげた。リーグ覇者として、3位楽天に王手をかけさせるわけにはいかなかった。主将が意地の3戦連発でチームをけん引した。

 「今年はレギュラーシーズン中、ケガで迷惑をかけたが、チームのみんなが日本一になるチャンスを与えてくれたので、恩返ししなきゃいけないと思ってやっている。1つ勝つのはあらためて大変だと思った」

 工藤監督がスタメンを4人入れ替え、打線を大幅に改造して臨んだ第3戦。その象徴が3回の攻撃だった。2番城所が右翼線二塁打を放ち、3番デスパイネが四球で無死一、二塁のチャンス。そして4番内川が初球甘く入ったカーブをとらえ、左越え逆転3ラン。14年のCSファイナルSでの日本ハム中田に並ぶリーグ記録の3試合連続本塁打で一時試合をひっくり返し、8回の中村晃の決勝弾へとつなげた。

 7月下旬に左手親指付け根を剥離骨折し、リーグ優勝時はリハビリ組だった。だが、ファーム施設で必死に練習する若手の姿を目にし、レギュラーを目指してもがいていた自身の若手時代を思い出した。「もうちょっとこうしたらいいのにとか思ったけど、俺の若い時もそうだった」。初心に戻り、エネルギーを満タンにして戦場へと戻ってきた。

 11年、15年と2度CSでMVPを獲得している勝負強さは今年も健在。首脳陣からは「バカになってやってこい」と言われていたといい「自分たちで勢いをつけられたらと思ってやった。結果につながった」と声を弾ませた。これで2勝2敗。内川は「全員で勝った試合。この流れを明日につなげて絶対勝ちます」と、力強く誓った。【福岡吉央】

 ◆内川が3試合連続本塁打。プレーオフ、CSの3試合以上連続本塁打は14年中田(日本ハム)が4試合連続(1S第3戦と最終S第1~3戦)、08年ウッズ(中日)が3試合連続(1S第2戦、第3戦、最終S第1戦)とステージをまたいで記録したのに次いで3人目。同一ステージでは14年最終Sの中田に並ぶ最長タイ。

 ◆内川はプレーオフ、CSで通算21打点目。和田の24打点(西武で10点、中日で14点)に次ぎ、歴代単独2位に浮上。パの打者では松中(ソフトバンク)中村(西武)の各18点を上回り最多となった。既にパで最多となっていた通算安打は40本になり、和田の46安打に次ぎ歴代2位の阿部(巨人)に並んだ。