来季巻き返しへ目の色が違う! 阪神原口文仁捕手(25)が巨人との練習試合(宮崎・生目第2)で1本塁打を含む3打数3安打1打点と活躍した。昨季ブレークした超変革の申し子は、今季出場73試合、打率2割2分6厘、6本塁打と低迷。宮崎では打撃フォームを一から見直している。DeNAとのクライマックスシリーズに招集されなかった悔しさを糧に、逆襲への準備を整える。

 紛れもない。スラッガーの放物線だった。2回。先頭で打席に立った6番原口は巨人高田の2球目に反応した。真ん中に入ったボールをたたきつぶすと、打球はきれいな弧を描いて左翼後方にある防護ネットを直撃した。4回には左前打、6回には2番手桜井から右前にポトリと落ちるラッキーな安打で猛打賞。指名打者としての出場で守備に就くことはなかったが、存在感が際立った。

 「(本塁打は)しっかりとトップの入りを準備できた」

 いつもの笑顔はない。昨季107試合に出場して打率2割9分9厘。シーズン途中から支配下登録されてブレークした。だが、一塁に専念した今季は壁にぶち当たった。出場73試合にとどまり、打率2割2分6厘、6本塁打。8月には左脇腹を負傷。レギュラーシーズンが終わっても、CS戦力としてお呼びが掛かることもなかった。

 中谷、大山とは対照的にフェードアウトするようにシーズンを終えた原口。来季はさらに厳しい状況に追い込まれる可能性もある。金本監督は「欲しいですよ、それは。ホームランは試合の流れが一発で変わるから」と、一塁手を中心とした助っ人獲得をフロントに要望している。厳しいプロの世界。椅子は限られている。

 「気にすることなく自分のやるべきことをしっかりとやっていきたい」

 原口は険しい表情でそう言った。宮崎入りしてから打撃フォームの試行錯誤を続けている。この日のアーチはガッチリと両腕を固めてトップの位置を作る本来のスタイルだったが、柔らかく揺らす新スタイルも試している。浜中2軍打撃コーチは「現段階で目の色が他の選手と違う」と驚く。戦いはもう始まっている。原口に笑顔はない。【桝井聡】