関西を拠点に活動する、野球独立リーグのベースボール・ファーストリーグ(BFL)が7日、「新育成システム」の立ち上げを発表した。BFLの兵庫ブルーサンダーズが向陽台高校と、和歌山ファイティングバーズが神村学園とそれぞれ教育提携を結び、育成チームを作る。

 入団テストを実施し、各チーム上限31名で選手を受け入れる。育成チームは各チームの下部組織として位置づけられ、教育リーグを実施。所属する選手は、神村学園と向陽台高校の通信制で学びながら、プロ野球など上のステージを目指す。高野連には加盟しないため、プロ野球球団との交流戦にも出場が可能。海外リーグへのレンタル移籍制度も予定されている。現在、高校の野球部に所属している選手も、転入という形を取れば参加することができる。

 兵庫、和歌山の球団代表兼GM高下沢(こうげ・たく)氏は「くすぶっている選手にもう1つ成功の道を提示したい」と話した。理念は「成功の道は一つではない」。何らかの理由で野球部を退部したりと、夢を諦めかけている若い選手の背中を押す。兵庫の黒田優斗投手(17)は現在、クラークの通信制に通いながらプレーしている。もともと九州の高校の野球部に所属していたが、指導方針が合わず退部。野球を続ける方法を模索していた時に、BFLの存在を知った。昨年11月のトライアウトを受け、1月から兵庫の練習生として活動。4月の開幕時には正式に1軍の選手になった。プロ野球球団との交流戦にも登板し、元阪神の井川慶投手(38)とともに普段から練習するなど、貴重な経験を積んでいる。

 今年のドラフトでは兵庫・田中耀飛(あきと)外野手(21)が楽天から5位指名され、リーグ史上初の本指名選手となった。田中は、12年からチームと提携を結ぶ芦屋大に通いながらプレー。「プロの指導をしていた方の指導が受けられる。力強いバッティングが出来るようになった」と話した。すでに大正製薬とナイキがこの活動に協賛。甲子園を目指すだけではない、新たな高校野球の形が始まる。