必ずグラウンドに帰ってきます! 脳腫瘍から再起を期す阪神横田慎太郎外野手(22)が16日、兵庫・西宮市内の選手寮で育成契約を結び、現状維持の推定年俸870万円で合意した。今年2月に症状が判明したが、約半年間の闘病生活を経て8月下旬に寛解。支配下登録を外れて背番号は3桁になるが、球団は24番を空けて待つ。左の大砲候補は、同じ病気で苦しむ人たちに勇気を与えるべく、恩返しの完全復活を誓った。

 夕日に照らされた横田の横顔は、凛々(りり)しく輝いていた。支配下登録を外れ、育成契約を結んだ直後。鳴尾浜の虎風荘で表情をキリリと引き締め、力強く決意表明した。

 横田 今年病気でまったく野球ができなかったのに、契約していただいてうれしく思います。1日も早く(背番号を)2桁に戻せるように、必死にやっていきます。

 今年2月の1軍沖縄キャンプ中に頭痛を訴え脳腫瘍が判明。入院と加療を行い、8月下旬に症状が消えて安定した状態となる「寛解」と診断された。以降はトレーニングを再開し、体重や筋力も「少しずつ戻ってきている」という。すでに軽めの打撃練習やキャッチボール、ランニングメニューも行っている。

 「毎日、朝、感じます。野球ができることがうれしいので、絶対にその思いは続けてやっていきたいです」。日々喜びを実感する一方で、偽らざる本音も隠さなかった。「まだ(症状に対する)不安もあります。そこは自分との闘い方なので。負けないように今後、頑張っていこうと思います」と力を込めた。

 支配下登録を外れての育成再契約は、球団の親心だった。高野球団本部長は「支配下のままで、『頑張らないと』という気持ちが強くなるのを回避してほしかった。慌てずやってほしいのが球団の一番の考えです。背番号についても当面は24番を空けておきたいと思っています」。背番号は3桁になるが、背番号24を空けて復活を待つ。来季中の支配下復帰についても「当然です。動きを見ながら、になります」と期待した。

 もちろん横田も球団の配慮に感謝でいっぱいだ。まずは来春の2月キャンプをメドに完全復活を目指し、早期の支配下再登録を狙っていく。

 横田 球団の方にお世話になったし、両親にも迷惑をかけた。野球で恩返しできるように、必死でやっていこうと思います。今の(同じ)病気で苦しんでいる方々に少しでも勇気を与えられるように、野球に対して必死にやっていきたい。

 覚悟みなぎる表情には、一片の曇りもなかった。【佐井陽介】