今季から公式戦で故意四球の申告制が採用されることになり、25日の12球団監督会議でも議題になりました。直接、プレーに関わる新ルールを阪神勢はどう、とらえているのか。選手にどんな影響が出るのか。自主トレを行うナインやコーチの声を聞きました。【取材・構成=酒井俊作、古財稜明、真柴健】

 今年は大きくプロ野球が変わる。監督がリプレー検証を要求できるリクエスト制を導入し、厳格だった2段モーションも緩和され、そして敬遠四球の際、申告すれば投げずに打者を歩かせられる。いわゆる「0球敬遠」は昨季から大リーグで採用。当時、マーリンズのイチローは「空気感があるでしょ、4球の間に。面白くない」と一刀両断していた。阪神ナインはどう考えているのか。早速、声を集めてみた。

 おおむね「歓迎」する向きが多い。投手にとっては心身両面でプラスに働くとの見方だ。昨季、8月からセットアッパーとして1軍に定着した石崎は言う。

 「たとえ4球でも、球数は少ない方がいい。次の日に疲れが残ることもあるので。1試合15球以内で抑えたいと思っていますから」

 一見、軽く投げる敬遠球は肩への負担が少ないように映る。だが、石崎は首を振る。長丁場をいかに疲れを残さず乗り切るか。たかが4球、されど4球-。プロ3年目の青柳の場合、敬遠するときは捕手が座ったまま、外していた。「その高さのままで外した方が良かったので。暴投にならないように。投げなくていいのはいいことだと思う。リスクも減る。球数もそうだし、気持ち的にも楽」。通常は捕手が立ち、緩い球を投げる。リリースポイントが狂い、嫌がる投手も多いが捕手にとっても歓迎だ。

 小宮山 (捕手が)立って投げるのが苦手な投手もいる。捕手はどこに来るか分からないと思って構えている。捕手としてもミスがなくなる分、ありがたい。

 小豆畑 敬遠の暴投がなくなる。制球に苦しんでいる投手なら、申告して敬遠した方がいいですよね。

 昨年5月21日ヤクルト戦ではルーキの敬遠暴投で決勝点をつかんだ。こんなシーンを防げることになる。

 その一方、打者目線で見れば、戸惑いもある。目の前で敬遠された次打者の心境を察するのは、浜中2軍打撃コーチ。「ネクストに立ち、4球のうちに考える時間があった。チャンスで打席に入るはずなのに、準備不足になってしまう恐れもある。自分が打者なら嫌。あの間でメラメラするときもある。サッと打席にいかないといけないし、準備の面で対応しないといけない」。打席直前の心構えが重要となる。代打を起用するタイミングなど、試合の先読みも欠かせないだろう。申告制の導入が、特異なスピード感を生むのは間違いなさそうだ。