宜野座の青空に「ロサリオ警報」発令中!! 阪神の新外国人ウィリン・ロサリオ内野手(28=韓国・ハンファ)が3日、沖縄・宜野座キャンプ最初の週末に「独演ショー」を繰り広げた。フリー打撃で柵越えを連発すると、客席から拍手が自然発生。アーチを左中間芝生席のテレビカメラの三脚に直撃させると歓声が上がり、これに帽子をとって応えた。助っ人の推定135メートル弾に襲われたテレビ局関係者は真っ青になり、警戒レベルを最大限に引き上げた。

 ロサリオの31スイング目だった。ライナーで左中間上空を伸びた打球が、芝生席上方の通路で撮影していたクルーを襲う。撮影者はかろうじて身をかわしたが、テレビカメラの三脚にガシャン!! 推定135メートル先の“命中”に、虎党は大喜びで拍手喝采だ。

 今キャンプ初めての週末。期待のロサリオが怪力を見せつけ、柵越えを連発させるたびに拍手が起こった。大歓声に気をよくしたのか、大砲もその場で右手で帽子を取って応える。こんな光景、めったにお目にかかれない。独壇場だった。「会心の当たりというか、カメラに当たったので、声援に応えようと思った」と助っ人は無邪気に喜んだ。

 真っ青になったのは、外野席で練習を撮るスタッフだ。ロサリオの「土曜劇場」や!! などとアーチショーを喜んでいたのも、つかの間。あわや大ケガの着弾に肝を冷やした。在阪テレビ局関係者は「もともと危ないので、警戒はしているんです。目を離しません。でも、長距離砲だから、より警戒しないといけないですね」と震え上がった。

 この日は44スイングで柵越え9発。キャンプ初日は時差ぼけを訴えたが、日増しにスイングは鋭くなり、飛距離もアップしている。そしてついにこの日、「ロサリオ警報」発令だ。外野芝生席は打球が頻繁に届くこともあり、ファンの立ち入りを禁じている。記者も入れず、カメラマンだけが立ち入りを許可されている。厄介なのは助っ人の本塁打が高く舞い上がって着弾するだけでなく、低いライナーでも突き刺さること。それだけ、ロサリオのスケール感が際立っている。

 周囲の騒々しさをよそに本人はマイペースそのもの。上空のヘリコプターに手を振るなど、おちゃめな姿も披露した。ご機嫌なのは理由がある。昨年12月まで母国ドミニカ共和国のウインターリーグでプレーしたアギラスが優勝。「すごくうれしいよ。10年待ち続けていたからね。タイガースも続けたらいい。2つのチームで優勝したい。(ユニホームが)本当に、そっくりだからね」。チャンピオンリングを心待ちにする。

 いまや他球団でも「ロサリオがいいらしい」とうわさになるほどの存在感。前日2日はフォロースルーが大きすぎて打撃ケージを移動させる異例の光景を見せつけ、バットを振れば伝説が生まれる-。こんな助っ人を待っていた。【酒井俊作】