ヤクルトのドラフト4位ルーキー塩見泰隆外野手(24=JX-ENEOS)がまた打った。7日の中日戦に今オープン戦で初めてクリーンアップとなる「5番右翼」で先発。“プロ初アーチ”を含む5打数2安打と活躍し、オープン戦の通算成績を14打数7安打の打率5割とした。もともと守備と足が売りだったという塩見の打棒爆発に、小川淳司監督(60)も「うれしい誤算」と笑顔を見せた。

 練習通りの打撃が出た。1回裏2死。塩見はカウント2-2と追い込まれた。「(悪い時は)全部変化球も追いかけてしまうので。追い込まれたらポイントを後ろにして。ストレートは最悪ファウルでいいと思って」と球を引きつけることに集中。中日の左腕エース大野雄が投じた「ツーシームか抜けたフォーク」を左中間スタンドへ運んだ。会心の一打に「相手は名のある投手。本当に気合が入りました」と笑みがこぼれた。

 前日6日の中日戦でも3安打。この日は第2打席でも左前打を放ち、これでオープン戦通算14打数7安打4打点。小川監督も「正直(定位置をだれにするか)ちょっと迷い始めてます。レギュラー争いの一角に十分に入ってきそうな雰囲気が出ている」と言わざるを得ない好調ぶりだ。

 もともと社会人時代から定評があったのは足と守備。打撃面ではパワー不足という評価だった。それが石井、宮出両打撃コーチとともに、バットのトップをより深くし、タイミングの取り方も改良。上体が突っ込む悪いクセを修正した。石井コーチは「キャンプ初日と今では雲泥の差ほど違います」という。小川監督も「キャンプでの頑張りがあって、打撃もパンチ力を出してくれている。うれしい誤算と言ったら失礼ですけど(笑い)、さらに期待したい」と評価した。

 将来的には1歳上で憧れの山田哲人のように「30本塁打、30盗塁」が狙えるポテンシャルを秘めている。「山田選手の参考にしているところは全部です。当てる能力、飛ばす能力、盗塁、スタート…。まだまだ全然、後ろ姿すらとらえられてない。練習して1歩でも近づけるようにしたい」。新人らしい初々しい言葉とともに、目が輝いた。【千葉修宏】