楽天のドラフト6位ルーキー西巻賢二内野手(18=仙台育英)が奮闘中だ。1月末に急きょ1軍キャンプに抜てきされ、沖縄・久米島、金武を故障なく終えた。その後の練習試合、オープン戦にも出場し、1日の卒業式出席のために宮崎から宮城へとんぼ返り。二遊間での高い守備力と意外性のある打撃で攻守にアピールを続けている。オコエ瑠偉外野手(20)以来となる高卒開幕1軍に向けて、意気込みを聞いた。【取材・構成=高橋洋平】

 シンデレラストーリーは、一体どこまで続くのか。1軍キャンプに急きょ抜てきされた西巻が、1次の久米島、2次の金武を故障なく乗り切った。1軍の練習試合、オープン戦でも安打を放ち、自慢の高い守備力を合わせて攻守にアピールを続けている。現在1軍に残っているのは、7人の新人のうち西巻だけだ。

 西巻 戸惑いはなかった。逆に引き締まった感じ。最初は雰囲気に慣れなかったけど、少しずつ前進していった感じはある。

 キャンプでは堅実な守備で日に日に評価を上げる中、初実戦でも18歳とは思えない落ち着いた身のこなしが光った。2月14日から始まった練習試合では途中出場ながら、難なく打球をさばいた。中前に抜ける当たりはスライディングキャッチで止めて、自慢の強肩で一塁に投げ込む。高卒世代最高と評される鉄壁の守備力は、その後のオープン戦でもいかんなく発揮されている。

 西巻 基本を大事にしている。自分がこうだなと思っても、違うなという部分はある。今ここでやっている基本を分かっていたつもりだけど、分かっていなかった。まだまだこれから。

 一方、入団前から課題に挙げられていた打撃は徐々に調子が上がってきた。2月17日に行われた三星(韓国)戦では対外試合初となる2安打2打点。チーム最小兵となる167センチの小柄な体ながら、シュアな打撃を披露している。

 西巻 比べちゃうと駄目だけど、宮城県の高校野球とプロのレベルは全然違う。高校野球の140キロと、プロの140キロは同じじゃない。低めの球がボールだと思っても浮き上がってくる。回転数と伸びが違う。

 戦友からヒントを得ていた。昨夏のU18(18歳以下)日本代表では、早実・清宮幸太郎(日本ハム1位)や履正社・安田尚憲(ロッテ1位)の振り切る打撃を見て学んだ。同24日の広島とのオープン戦では初打席初安打。高卒新人「清宮世代」の初安打一番乗りだった。

 西巻 今はしっかり振ることを意識している。ただ当てるだけの打撃は駄目。清宮も開幕1軍を目指しているので、自分も負けないように頑張りたい。

 1日の卒業式に出席し、戦友たちと2カ月ぶりに再会を果たした。中高6年間野球を学んだ仙台育英を、満面の笑みで巣立った。

 西巻 これからの野球人生にすごく生きる3年間だった。主将を任されたことで、多くの部員をまとめることで、周りが見えるようになった。これが一番大きかった。

 卒業式後当日にはオープン戦が行われていた名古屋にとんぼ返りし、戦列復帰した。半年前は甲子園で全国制覇を争っていた高校球児が、今や開幕1軍を狙う高卒1年目のプロ野球選手だ。

 西巻 イメージが湧かない(笑い)。こうなるとは、想像はしてなかった。チーム最年少としていろいろ学んで、けがなくやること。1日1日、やれることをしっかりやって、その先に開幕1軍がついてくる。正直、先は見ていない。目の前の1日で学んだことを、次の日に生かしてやっていきたい。