楽天は3日、日本ハムとのホーム開幕初戦(楽天生命パーク宮城)で0-2と敗れた。先発の岸孝之投手(33)が8回3安打無失点と好投したが、9回に登板した守護神の松井裕樹投手(22)が3安打を浴びて2点を失い、3連敗を喫した。この日は、1月に70歳で亡くなった星野仙一球団副会長に追悼の意を表して選手、スタッフ一同が背番号77のユニホームを着用して戦ったが、勝利で飾れなかった。

 最後まで勝利を信じた、球場をクリムゾンレッドに染めた2万6622人のファンが、思わずため息をもらした。0-0の9回、松井が2安打と野選でつくった無死満塁のピンチ。日本ハム・レアードに投じた4球目の130キロチェンジアップを左中間にはじき返されると、守護神は口を開けてぼうぜんとするしかなかった。勝利しか考えられなかった試合を落とした梨田監督は、絞り出すような声で、振り返る。

 「星野さんの追悼試合で、いい野球ができなかった。岸を援護できなかった。1死三塁で1点取っておけば、こういう展開は変わっていた。相手チームより点を取らないと勝てない。0点だと…」

 度重なる拙攻を嘆いた。初回1死三塁をフイにすると、5回には1死二塁では岡島がけん制死。7回にも二盗を失敗した岡島は「そういうところ詰めて、明日からしっかり勝ちたい」と言葉少なに引き揚げた。8回先頭の主将嶋が今季初安打を右翼線に放ち、二塁にヘッドスライディング。右手を大きく振りかざしながらガッツポーズを繰り出したが、後続が倒れて岸を見殺しにしてしまった。

 攻守がかみ合わず、開幕4戦で3連敗。不動の2番ペゲーロが体調不良で先発を外れ、打線を大幅に組み替えたが、機能しなかった。さらに、3年連続で30セーブ以上をマークする守護神松井が登板2試合でいずれも失点。ロッテとの開幕戦では1点リードの9回に同点へ持ち込まれ、この日は決勝点を献上した。梨田監督は「9回? 当然そのつもり」と松井の抑え起用の継続を強調した。

 星野氏の力を借りてでも勝ちたかった試合だったが、昨年のホーム開幕戦より観客数は460人の微増にとどまった。昨年は開幕4連勝で波に乗っただけに、早急に立て直したい。指揮官は「まだ139試合もある」と、前を向くしかなかった。【高橋洋平】