楽天期待の藤平が、2年目の進化を見せた。今季初先発で4回まで無安打5奪三振。1-0の5回に2四球2安打で逆転を許して初勝利を逃すも、成長著しい右腕は毅然(きぜん)とした表情で目を見開いた。

 「ヒットをそんなに打たれたわけじゃない。次の登板までに調整したい」

 前を向くのには理由があった。今季、岸と辛島から教わった新球チェンジアップに手応えをつかんでいた。苦手だった左打者に対してシュート気味に沈む。横浜高の先輩で左打ちの日本ハム近藤には3回の初球、外角高めに投げ込みストライク。「今まで左打者には向かっていくスライダーと直球しかなく、絞りやすかった。出し入れできて、奥行きも出てきた。ちょっとした成長」。4回には右打者の清水に対して真ん中低めに落とし、空振り三振。右打者にも新球を試し、投球の幅を広げた。

 効果のあった新球に対し、生命線の直球には課題を残した。この日の最速は147キロを計測したが、高めに抜けて制球が定まらず7四死球。梨田監督は「球自体は良かったけど」と一定の評価を与えたが、「5回で98球。次の登板でいい投球を期待したい」とハッパをかけた。

 昨年、2度の大型連敗を止めた「連敗ストッパー」でも勝利を呼び込めなかったが、全く動じない。「マウンドが硬く、直球がばらけていた。ブルペンで調整し、左足にもっと体重を乗せていきたい」。青天井で成長し続ける藤平は、並の19歳じゃない。【高橋洋平】