ロッテの企画した「データで楽しむプロ野球観戦」に潜入した。私は一昨年まで記録担当としてデータ指標「セイバーメトリクス」の記事を執筆していた。上野大樹元投手(31)も選手目線で解説すると聞けば興味津々。12日のロッテ-西武3回戦(ZOZOマリン)を取材した。

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 セイバーの著書もある統計学者の鳥越規央氏(48)が、データを交えて解説する企画は今年で3年目を迎えた。弁当に生ビール、選手名鑑が付き、アイドル千葉えりかさんも参加。毎回ではないがスイートルームで観戦できて8000円。クイズ大会の賞品として、09~15年にプレーした上野氏が現役時代に試合で使用したユニホームや帽子なども提供された。

 いきなりデータと選手目線が絡み合った。1回無死一塁。西武は2番源田にバントをさせず、右前打で好機拡大した。セイバーでは無死一塁から犠打で1死二塁とすると、得点期待値が下がる。つまり、西武の作戦はデータ上は合理的だ。上野氏は「先発投手は早く1アウトがほしい。バントは安心する」と解説。投手心理でも作戦が有効だと語った。

 2回にロッテ清田が盗塁死した。鳥越氏は「盗塁成功は0・17点分の価値。失敗はマイナス0・4点分の損。つまり、2回成功しても0・34点なので1回の失敗での損失が上回る。3分の2の成功率(67%)ではマイナスになる」。試合前までロッテの成功率は70%で「ぎりぎりプラス」。西武は88%だった。盗塁は成功率がなにより重要で、日本ハム(昨季76%、今季80%)は近年チームとして上手に管理しているという。

 上野氏の「おもてなし心」もイベントを盛り上げた。「選手時代は、試合で結果を出すことが一番だと。ファンサービスも頭にあったけど至らなかった」との反省がある。「少なくなってきた」実使用品を惜しげもなく提供。サインにも質問にも「僕でよければ」と快く応じていた。

 次回は6月のDeNA戦を予定。今回も西武ファンが交じっていたが、相手チームのファンでも、データ好きなら楽しめそうだ。【斎藤直樹】