「本塁踏み忘れ男」オリックスのクリス・マレーロ内野手(29)が、「神走塁」で勝利を呼び込んだ。0-0の5回2死二、三塁。二塁走者の助っ人は、若月の右前打で、三塁走者に続き猛然と本塁へ。タイミングは完全にアウト。だが、返球を受けた日本ハムの捕手・清水が左足にタッチしようとした瞬間、素早くミットをかわし、その足でホームにタッチ。球審の両手が左右に広がった。

 すぐに栗山監督からリクエストが出されたが、リプレー検証の結果は判定通り。オリの主砲は「なんとかベースにタッチしようと思った。(左足は)とっさの反応だったので、どうだったか覚えていないよ」と振り返った。風岡内野守備走塁コーチは「回してもいい場面だったので。後は神頼み。マレーロの『神足』だね」とたたえた。

 マレーロは、昨季、日本デビュー戦で本塁打を放ちながら、本塁を踏み忘れて取り消されている。お立ち台に上がった若月もそのことを踏まえ「今日はちゃんとホームベースを踏んでくれたのでよかったです」と笑わせた。

 この日は、大リーグのダイヤモンドバックスでプレーする、いとこのデブン・マレーロが、一塁走者を追い越して本塁打を取り消された。オリックスのマレーロは試合前に動画などで見て知っており、日米“珍プレー共演”に「(デブンから)電話があったんだけど出られなかった。後で電話するよ」と笑った。

 福良監督は「マレーロはうまかった。あの1点は大きいですからね」と高く評価した。助っ人は8回にダメ押しの2点打も放ち、打線も12試合ぶりに2ケタ安打。バットでも足でもチームを引っ張る。【高垣誠】