中日松坂大輔投手(37)が移籍後2度目の先発で、最長の7回を投げて4安打2失点(自責1)。初白星は逃したが、123球の熱投だった。4回無死満塁は1点でしのぎ、7回のピンチでは体調を心配して近づいた投手コーチを制して投げきり、追加点を防いだ。

 横浜高校の恩師、渡辺元智前監督(73)は教え子の投げっぷりに感極まった。7回表2死満塁で代打上本を空振り三振に切った場面に「思わず涙が出ました」。出先でパソコンを開きながら投球をチェックし、懸命に右腕を振る姿にくぎ付けになった。「高校時代もそう、西武でもメジャーでもあれだけやってきた人間。大きな舞台で投げ、試合で修正し、再生できる選手だとあらためて思いました。松坂の投球を見ていて、生きるんだ、生きるんだ、という執念を感じた」。必死に投げる姿に心を揺さぶられた。

 移籍後初登板となった5日の巨人戦の後、電話をかけた。「メールで返信があって『まだまだ頑張ります!』と。今日の投球は確実に次につながる内容だった。本人ともまた話してみますが、本当に感動しました」。松坂の投げる姿はファンのみならず、礎を築いた恩師にも力を与えた。【和田美保】