広島が4点差をはね返すサヨナラ勝ちで5連勝を飾った。3-4の9回に菊池の適時三塁打で追いつき、延長12回に下水流が右適時打を放って勝負を決めた。6回には鈴木誠也外野手(23)が1軍復帰後初出場。2年ぶりの代打安打でチャンスを拡大した。下半身の張りで開幕直後に出場選手登録を抹消されたが、19日ぶりの出場で大いに沸かせ、激勝に一役買った。

 球場全体が、この男を待ちわびていた。4点を追いかける6回、松山とバティスタの連続適時打で1点差に迫った。真っ赤に染まったファンの歓声が熱気を帯びる。なお1死一、二塁で磯村が打席に向かうと同時に、鈴木がベンチからバットを持って出てきた。それだけで、スタンドのボルテージがさらに上がった。

 「今まで迷惑しかかけていない。もう落ちることは許されない。気を引き締めてスタメンを勝ち取れるようにやっていきたい」。開幕直後に戦列を離れた。責任感の強い若き主砲は、復帰とともにそんな思いを抱いていた。安部が中飛に倒れ、打席に向かう。期待感は最高潮に達した。

 ブキャナンの球筋を確かめるように、外角に外れたボール球を2球連続で見送った。3球目、さらに続いたカーブを思い切り振った。決して当たりは良くなかったが、三遊間に飛んだゴロが三塁手奥村のグラブをはじいた。満塁へと好機を広げた。一塁ベース上で、思わず笑顔があふれた。代打安打は16年5月10日のヤクルト戦で久古から本塁打を放って以来だった。

 昨年8月の右足首手術から開幕スタメンに間に合ったが、2戦出場後に欠場。下半身の張りが出て、今月4日に出場選手登録を抹消された。15日の2軍戦で実戦復帰後初打席の初球を本塁打。1軍復帰した前日18日は出番がなかった。

 9回2死二塁から菊池の起死回生の右中間三塁打で追いつくと、ベンチのナインは総立ち。鈴木もピョンピョンと跳びはねながら、喜びを全身で表現した。当面は代打起用が続くとみられるが、ベンチにいるだけで相手に威圧感を与えられる。存在感たっぷりの背番号51が、これからチームに貢献していく。【大池和幸】