リーグ9連覇を狙う富士大(岩手)が「佐藤兄弟」の開幕スタメンそろい踏みで八戸工大(青森)を4-0で下し、白星発進を決めた。兄佐藤龍世(4年=北海)は「4番三塁」で先発し、2安打1打点と気を吐いた。今春に入学したばかりの弟佐藤大雅(1年=北海)は「5番捕手」で大学初先発。無安打ながら先発右腕の村上英(4年=宇都宮南)を好リード。1安打完封勝利をアシストした。

 兄貴の威厳を存分に見せつけた。1-0の8回無死二塁。4番佐藤龍は2球目の内角ツーシームをフルスイング。三塁線を破る適時二塁打で1点を加えると、塁上で右拳を握って小さくガッツポーズをつくった。

 佐藤龍 次が打ててない5番の大雅だったので、自分の後ろに回さないようにしようと。自分が打って決めようと思った(笑い)。

 3学年差の兄弟のため、中学、高校では入れ違いでプレーしてきた。この日が野球人生初となる兄弟同時の試合出場となったが「最初は不思議な感じがしたけど、途中からは関係なかった」と余裕を見せた。

 弟の佐藤大は高2夏の甲子園で北海(南北海道)を準優勝に導いた強肩強打の捕手で、兄の背中を追って富士大に入学した。開幕前のオープン戦で実戦経験を積んでアピールし、開幕戦で見事に兄弟スタメンを飾った。勝負どころで大胆に変化球を要求する配球で、村上の完封劇を引き出し「うまくリードできた。だけど打撃は、チャンスで回ってきて力が入ってしまったのが反省」と前を向いた。

 兄貴としての責任感も発揮した。三塁守備で佐藤龍はひたすら「大雅OK! いいよ!」と、大学初先発の弟に対して大声で鼓舞した。「今日の先発メンバーで、去年先発を経験してるのは自分を含め3人だけ。弟に対してもだったけど、副主将としてチームを引っ張っていきたかった」と意図を説明する。佐藤大も「兄貴の必死さが伝わってきて冷静になれた。安心感があった」と絆を再確認した。

 開幕戦快勝発進を決め、目指すはリーグタイ記録に並ぶ9連覇だ。佐藤龍は「リーグで勝たないと大学日本一もない。レベルアップして全国でも勝つ」と宣言。佐藤大も「試合に出れば1年生とか関係ない。チームの勝利に貢献するだけ」と続けた。1年限りの強力デュオ「佐藤兄弟」が、暴れまくる。【高橋洋平】